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自粛4週目のノルウェー 散歩をする人が急増で、分散を呼び掛ける事態に

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員
撮影:あぶみあさき

必要のない外出を避け、在宅勤務などを政府が推奨して、およそ4週目を迎えるノルウェー。

ノルウェー公衆保健研究所によると、10万8709人が検査をされ、5640人の感染が確認され、死亡者は58人(人口は530万人と北海道ほど)。

外出禁止令は出ていないので、他者と1~2メートルの社交的距離を置いているなら、散歩などはしていいことになっている。

3日(土)のフログネル地区 撮影:あぶみあさき
3日(土)のフログネル地区 撮影:あぶみあさき

八百屋の看板にはこう書かれていた。

「互いと距離を保ちましょう。設置してある手袋や消毒液を使用してください。大勢の状態になることは避けましょう。よく食べましょう。ひとりひとりのために、団結する時です!」

薬局では消毒液は売り切れているが、カフェなどに設置されているので、市内で見つけるのは簡単だ 撮影:あぶみあさき
薬局では消毒液は売り切れているが、カフェなどに設置されているので、市内で見つけるのは簡単だ 撮影:あぶみあさき
フログネル地区を歩いていると、視界には常に10人ほどの人が目に入る。通常よりは人の数は少ない 撮影:あぶみあさき
フログネル地区を歩いていると、視界には常に10人ほどの人が目に入る。通常よりは人の数は少ない 撮影:あぶみあさき

人気の公園に、人は本当にたくさんいるのか?

人が集まりやすいので、定番の場所は避けるように注意喚起がされてから約2週間。公園からは人の姿は減ったように見える 撮影:あぶみあさき
人が集まりやすいので、定番の場所は避けるように注意喚起がされてから約2週間。公園からは人の姿は減ったように見える 撮影:あぶみあさき

オスロにはヴィーゲラン彫刻公園(別名:フログネル公園)と呼ばれる、市民の憩いの場・観光スポットがある。

自粛が求められる中、冬が明け、青空の快晴の日が訪れると、市民は散歩をしたくなる。

散歩はいいのだが、問題は定番スポットに人が集まりやすいことだった。

家族や友人とは距離を置かないが、他人が通り過ぎる時は、互いを避けて歩いていた 撮影:あぶみあさき
家族や友人とは距離を置かないが、他人が通り過ぎる時は、互いを避けて歩いていた 撮影:あぶみあさき

今、山岳協会やオスロ市は、「散歩はしましょう。でも、近所で散歩しましょう」と必死に呼びかけている。

この彫刻公園にも、「人が集まりすぎている」と現地メディアで度々取り上げられていた(3月28日の公園の様子を報道した地元紙の記事では、人がもっと多い)。

実際、確かに人はいるが、とても広い場所なので、人との距離は2メートル以上は離れている。

子どもと自転車で走る親、ジョギングをする市民もいた 撮影:あぶみあさき
子どもと自転車で走る親、ジョギングをする市民もいた 撮影:あぶみあさき
公園に向かう途中にあったのは、休業している映画館。「私たちは、戻ってきます!」と文字が出ていた 撮影:あぶみあさき
公園に向かう途中にあったのは、休業している映画館。「私たちは、戻ってきます!」と文字が出ていた 撮影:あぶみあさき
バスの運転手と乗客が距離を置くように、運転手にこれ以上近づかないでくださいというテープが貼られている 撮影:あぶみあさき
バスの運転手と乗客が距離を置くように、運転手にこれ以上近づかないでくださいというテープが貼られている 撮影:あぶみあさき

散歩を愛する国だから

自然に囲まれた国なので、市民はもともと外での活動が好きだ。

ノルウェー人がいう「散歩」という言葉を、日本語の「散歩」として解釈してしまうと、現地で仰天することとなる。

散歩好きな国では、「散歩」とは本格的な登山やハイキングも意味するからだ。

散歩する人に比例して、ゴミが増えてしまった

自宅で過ごす人が増えた結果、当然と、森や川の周辺を散歩する人が増えた。

オスロ市では、このような自然エリアのゴミ箱で捨てられる量が通常よりも5倍に増えてしまい、ゴミは持ち帰るように市は呼び掛けている(公共局NRK)。

散歩をするなら、あなただけの穴場スポットをみつけて

散歩をするのはいいが、人気や定番の散歩コースに人が集まりやすいことから、各自治体などは「もっと分散してください」とSNSなどでお願いをしている。

先週末から13日までは、イースター(復活祭)の休暇に入っている人が多い。通常は山小屋や国外旅行へ行く人が多いが、新型コロナの影響で、自宅で過ごす人が増える。

イースター効果で散歩をする人が増えるであろうことから、「広い国で十分なスペースはあるから、近所にある、一般に知られていない穴場を見つけて」という情報伝達が、急いで進められている。

私は近所の森をよく散歩している。誰もいないので自分だけの空間のようだ。雪はまだ少し残っている 撮影:あぶみあさき
私は近所の森をよく散歩している。誰もいないので自分だけの空間のようだ。雪はまだ少し残っている 撮影:あぶみあさき

Photo&Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信15年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。ノルウェー国際報道協会 理事会役員。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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