米国アラスカ「ホロコースト時代のユダヤ人の黄色い星」でコロナ政策の反対デモ・市長も賛同して即謝罪
ホロコースト時代のユダヤ人に例えられやすいワクチン接種の政策。アンカレッジ市長も賛同して即謝罪
米国のアラスカ州のアンカレッジで新型コロナウィルス感染対策のワクチン接種の義務化とワクチン接種をしたことを証明するワクチンパスポートをレストランや劇場に入る際に必須にしようとする政府に反対する人たちがデモ集会を行っていた。このようなデモは欧米ではよく見かける。そして、そのデモで、ワクチン接種に反対する人たちはナチスドイツの支配下にあったユダヤ人がつけさせられていた黄色い星を着用してデモに参加していた。またアンカレッジ市長のデイヴィッド・ブロンソン氏もこの黄色い星を着用したデモ集会に賛同して、集会参加者に理解を示したことから、炎上して謝罪していた。
欧米ではワクチン接種を希望している人も多いが、政府からワクチン接種を強制されること、レストランなどに入る際にワクチンパスポートの提示の義務化に反対している人も多い。ナチスドイツ時代にユダヤ人に強制的に着用させた黄色い星で、ユダヤ人を差別・迫害していたように、ワクチン接種を受けていない人に対して「ワクチンを接種していない」ことが外見からもわかるようにバッチをつけさせられることを懸念して、このようなデモや抗議運動が多く行われている。そして欧米でのワクチン接種の強制に反対する運動や抗議、デモ、SNS の投稿などで、ユダヤ人に着用させていた黄色い星を着用して抗議しているのは今回のアンカレッジでのデモが初めてではない。
欧米では「ロックダウンで外出が制限されたり、マスクの着用を義務付けられたり、ワクチン接種を強要させるといった、不自由な生活=ホロコースト時代のユダヤ人がゲットーに閉じ込められて迫害された不自由な生活」、「政府による強制的なロックダウンやマスク着用、ワクチン接種=ナチスドイツの全体主義」というイメージを持つ人が多い。
そして欧米では新型コロナウィルスのパンデミックの不自由な状況やマスク着用の義務化、ワクチン接種の強制をホロコーストに例えるたび、当時のユダヤ人の悲惨な境遇や生活とは異なると、「ホロコーストに例えることは犠牲になったユダヤ人に失礼だ」「迫害されていたユダヤ人とは状況が違う」などと言われていつもネットで炎上している。
ユダヤ団体「私たちユダヤ人コミュニティも落胆しています」
今回のワクチン接種に反対する人たちが、黄色い星を着用してデモに参加していたことをうけて、アラスカのユダヤ団体のラビのヨゼフ・グリーンベルグ氏は「コロナ対策でのワクチン接種やマスク着用の義務化をホロコーストに例えるのは、犠牲者と生存者に対して失礼です。そもそもワクチン接種やマスク着用の義務化と600万人が殺害されたホロコーストを比較するのはおかしいですし、全く理解できません。そして私たちユダヤ人コミュニティも落胆しています」と語っていた。
ワクチン接種やコロナ対策の政策をホロコーストと比較すると、必ずネットが炎上するし、ユダヤ団体がこのように反対するコメントをして、テレビやニュースなどで報じられる。そのため、ワクチン接種に反対する人たちは、炎上して目立つことを目的に、わざわざ黄色い星を着用して、デモの写真をSNSに掲載したり、メディアに出ることによって、自分達の主張をアピールしている人も多い。
ホロコースト時代に差別標的のために黄色い星を着用させられたユダヤ人
第二次世界大戦の時に、ナチスドイツが約600万人のユダヤ人を殺害した、いわゆるホロコースト。黄色のダビデの星はナチスが政権を握った国や地域では、ユダヤ人を差別迫害し隔離するために、ユダヤ人には人々の目に見えるように衣服に黄色い星を縫い付けさせた。黄色は欧州では呪われた色だった。
特に西欧諸国では外見からはユダヤ人を見分けるのは困難だったため、黄色い星が縫い付けられた服を着用しているのがユダヤ人の証で、黄色い星をつけたユダヤ人は公共の場所や映画館、公園、店舗などに入ることも禁じられた。そして黄色い星は「この人はユダヤ人なので殴ったり、嫌がらせをしたりしても構わない」とわかりやすくするためのものだった。またアウシュビッツなどの収容所に貨車で移送されたユダヤ人の荷物の選別をしていた囚人は、ユダヤ人が持ってきたトランクから衣類を取り出して、それらに縫い付けられている黄色い星を剥ぎ取る仕事をしていた。黄色い星を剥ぎ取られた衣服はユダヤ人を移送してきた貨車に載せられて、戦中で物不足のドイツに送られ一般市民の古着として活用された。
▼黄色い星を着用してコロナ政策の反対デモ集会に参加
▼ホロコースト時代に黄色い星の着用を義務付けられたユダヤ人