6月29日 沖縄県に「顕著な大雨に関する情報」 宮城県でも発表される可能性はあるもの?
きょう6月29日の未明、沖縄県に「顕著な大雨に関する情報」が発表されました。これは今月から運用が始まった新たな情報で、一言で言えば「線状降水帯ができて災害に直結するような大雨になっていますよ」と呼びかけるものです。
近年よく耳にするこの「線状降水帯」は宮城でも発生し得るものなのでしょうか?
線状降水帯とは
線状降水帯とは、読んで字のごとく雨雲が線状に連なったもので、同じ場所に発達した雨雲が長時間かかり続けるため災害を引き起こすことが多くなっています。
きょうの沖縄県は、太平洋高気圧の縁を回って流れ込む南西からの湿った空気と、梅雨前線に沿うようにインド洋から流れ込む西からの湿った空気が合流。さらに東シナ海には、天気図には表れないような高気圧があり、この高気圧が梅雨前線を北から抑えつけたことで、活発な雨雲がかかり続けました。
この状況は梅雨の東シナ海周辺で間々見られるもので、昨年の熊本県の豪雨や2018年の『西日本豪雨』も似たような状況でした。
東北地方は、東シナ海に比べると湿った空気の合流が起こりにくいため、線状降水帯ができることは極めて稀だとは思いますが「絶対にできない」とまでは言い切れません。
また気象学的な仕組みが多少違っていても「顕著な大雨に関する情報」が発表されることはあり得ます。
宮城県の「顕著な大雨に関する情報」に該当しそうな過去事例
宮城県で「顕著な大雨に関する情報」に該当する過去の事例として代表的なものが2015年9月の関東・東北豪雨です。茨城県で鬼怒川を決壊させたこの大雨は、宮城県においても大きな被害をもたらしました。
この時は、2つの台風の間で湿った空気がぶつかり合い、雨雲がまさに「線状」にかかり続けました。東シナ海で起こるものと微妙にシステムは異なりますが、降水量や継続時間、雨雲の規模など立派な「線状降水帯」と言えるでしょう。
また気象庁に確認をしたところ、2019年の東日本台風も「顕著な大雨に関する情報」の該当事例とのことです。
台風そのものの雨雲は円形ですが、当時は地形の影響を受けて線状に発達した雨雲がかかり続けた時間がありました。そうした際にも「顕著な大雨に関する情報」は発表されるとのことです。
ただ大事なことは、この「顕著な大雨に関する情報」は「既に降っている」状況で発表されるため、これが出てから逃げようとしてももう遅い可能性もあるということです。
気象庁では、将来は線状降水帯の予測ができるよう研究などを進めていくとのことですが、今は少なくともこの情報の発表より前に避難を完了させておくようにしてください。
【追記】
解析雨量画像の説明文において一部日付に誤りがございましたので訂正いたしました