「世界最大級の氷山」分裂続く 地球上の氷は1年でどれだけ消えた?
南極から朗報です。
南極海の島に衝突するかと恐れられていた巨大な氷山が、次々に分裂しているというのです。この氷山は2017年に南極のラーセン氷床から分裂し「A68a」という何とも味気ない名前が付けられています。一時は三重県の面積に相当する5,800平方キロもの広さを持つ、世界最大級の氷山でもありました。
これまで恐れられていたシナリオというのはこうでした。
A68aがサウスジョージア島に衝突または接近して、座礁する。
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ペンギンやアザラシが海中で餌をとる際、大幅な大回りを強いられる。
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体力が尽きて命を落とす。島で餌を待つ赤ちゃんも餓死する。
2004年に別の氷山がサウスジョージア島付近で座礁した時には、海岸で待っていた多数の赤ちゃんペンギンやアザラシが死骸で見つかっています。
しかしBBCは、今回はこうした危機を脱したと伝えています。
幸いにしてA68aは分裂を続け、1月下旬時点で少なくとも7つの氷片に分かれたもようです。そのうえ下の図のように、12月中旬以降はサウスジョージア島から離れるように移動していることも分かります。
地球から消えた氷の量
25日(月)、興味深い論文が発表されました。世界全体から消えた氷の量を計算しているのです。
英エディンバラ大学とリーズ大学の教授らが衛星画像を使って解析したところ、地球上の氷は1994年から2017年にかけて28兆トンも消えてしまったといいます。その量たるや、英国全体を覆う100メートルの厚さの氷に相当します。
解けた氷のその内訳は下記の通りです。
- 北極海の氷:7.6兆トン
- 棚氷:6.5兆トン
- 山岳氷河:6.1兆トン
- グリーンランド:3.8兆トン
- 南極氷床:2.5兆トン
- 南極海の氷:0.9兆トン
さらに研究者は、融解の速度が近年どんどん加速していると指摘します。1990年代までは年に0.8兆トンのペースでしたが、近年では1.3兆トンのペースとなり、約6割も増えているということです。
氷が解けるとどうなる?
氷が解けるとどうなるのでしょうか。
氷が解けること自体は、海面を上昇させる直接の原因にはなりません。しかし水面は海氷よりも太陽光の反射率が低いので太陽エネルギーをより吸収して、昇温する割合が大きくなっていきます。海水温が高くなると、水が膨張、その結果海面上昇につながると考えられています。
異論もありますが、今後も海面上昇が問題を引き起こすと危惧されています。数年前にはClimate Centralという団体が、大胆な予測を出していました。
それが、温暖化が進んだ場合の東京の未来図です。下の動画をぜひ見てみてください。もし世界の気温が上昇し続けたら、東京がまるで水の都ベネチアのようになってしまうと予測しています。
どんな未来が待ち受けているのでしょうか。