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非常に強い台風2号 沖縄に接近、停滞のわけ

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
【台風2号の進路予想図】5月27日午後3時現在:ウェザーマップ作画

 台風2号は27日(土)午後3時現在、フィリピンの東海上を時速25キロの速さで西へ進んでいます。中心の気圧は925ヘクトパスカル、最大風速は50メートルと依然として非常に強い勢力を保っています。

 台風は今後も西寄りに進み、30日(火)頃から進路を北寄りに変えて、沖縄に近づく予想です。その後、6月1日(木)にかけて、動きが遅くなるため、沖縄では影響が長く続くおそれがあります。数日間、外出が難しくなる場合に備えてください。

今年初の猛烈台風

 台風2号が発生して一週間が経ちました。その間、台風は約2,000キロを移動、時速に換算すると約12キロの速さです。

 動きはゆっくりでしたが、発達は急でした。23日午後3時までの24時間に風速が30ノット(※)増加し、一時は猛烈な勢力まで発達しました。

米グアム付近を通過した台風2号(5月23日正午):ウェザーマップ作画
米グアム付近を通過した台風2号(5月23日正午):ウェザーマップ作画

 低気圧とは違って、台風の急発達には明確な基準はありませんが、アメリカでは1分平均風速が24時間で30ノット増加することとしています。

三日たっても変わらず

 もうひとつの特徴は進路図がほとんど変わらないことです。沖縄付近に進む予想が示されたのが24日午後です。その後も進路予想に大きな変化は見られず、27日午後の予想でも、予報円は沖縄付近に留まっています。沖縄から先の進路はばらつきが大きく、定まらない状況が続いています。

【台風2号の進路予想図】上図は5月27日午後3時時点のもの、下図は24日午後3時時点のもの:ウェザーマップ作画、筆者加工
【台風2号の進路予想図】上図は5月27日午後3時時点のもの、下図は24日午後3時時点のもの:ウェザーマップ作画、筆者加工

なぜ、台風は停滞するのか

 台風のスピードが落ちると長時間、暴風雨や高波にさらされるだけでなく、前線が刺激され、広範囲で大雨となる危険性が高まります。そのため、台風の遅速を見極めることも大切です。

【5日間平均予想図】波の活動度フラックス(矢印)と200hPa流線関数の平年偏差(等値線):ウェザーマップ作画、筆者加工
【5日間平均予想図】波の活動度フラックス(矢印)と200hPa流線関数の平年偏差(等値線):ウェザーマップ作画、筆者加工

 台風2号が沖縄付近で停滞する理由には高気圧が関係しています。上図は偏西風の波としての活動度の大きさを示した図で、振幅の大きい偏西風が西から伝わり、日本付近で高気圧が停滞する様子がわかります。

 6月1日にかけて、台風2号は高気圧に行く手を阻まれ、沖縄付近で動きがゆっくりとなる見通しです。

【参考資料】

高谷康太郎、2009:「波の活動度」および「波の活動度フラックス」、天気、56、831-833

(※)1ノット(kt)は毎秒0.5144メートル

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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