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ウクライナ軍、4つの回転翼のクワッドコプターに6個の爆弾搭載の筒をつけた「自家製攻撃ドローン」開発

佐藤仁学術研究員・著述家
(OSINTtechnical提供)

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。

そんななか、ウクライナ軍は民生品のクワッドローターやクワッドコプターと呼ばれている4つの回転翼のドローンに爆弾を搭載できる筒をつけた攻撃ドローンを自作で開発していた。爆弾を搭載できる筒には、様々な爆弾が搭載できるようだが、形状から「82mm迫撃砲BM-37」爆弾または「TM-62」地雷が適しているようだ。爆弾は6個まで搭載できる。クワッドコプタードローンから筒に搭載された爆弾を投下するオペレーションをしている動画も公開されている。ウクライナ軍が自作で開発した「自家製攻撃ドローン」なので、メーカーが開発したドローンのように製品名はない。

ロシア軍はロシア製の監視・偵察ドローン「Orlan-10」や中国製の民生品ドローン、イラン政府から提供された攻撃ドローン「シャハド136」などを使用してウクライナ軍に攻撃をしかけている。

ウクライナ軍はロシア軍侵攻直後はトルコの軍事ドローンを多く使用していたが、現在では欧米諸国から提供されたもののほかに、民生品ドローンやウクライナのドローンメーカーが開発した監視・偵察ドローンや攻撃ドローンを多く使用している。特に小型の民生品ドローンに小型の爆弾や手りゅう弾を搭載してロシア軍の戦車や軍事施設、塹壕のロシア兵に投下して攻撃を行っている。多くの市販の小型民生品ドローンを改造して攻撃ドローンにしている。

小型民生品ドローンでは搭載できる爆弾の量も限られているので、ダメ―ジを与えることはできるが破壊力は小さい。今回のクワッドコプタータイプのドローンに爆弾搭載の筒を6個つけたドローンは、小型の民生品ドローンよりも搭載できる爆弾の量も多く、6個搭載できるので、攻撃の威力は大きい。ウクライナ軍ではロシア軍との戦況に応じて、民生品を活用してこのような多くの兵器を自作で生み出してロシア軍に攻撃を行っている。必要は発明の母である。

▼ウクライナ軍が自作で開発したクワッドコプタータイプの「自家製攻撃ドローン」

ウクライナの副首相のミハイロ・フェドロフ氏は2023年1月に「ウクライナ軍はあらゆる面での無人技術の開発を急がないといけません。ロシア軍はロシアの囚人を大砲として利用しているが、ウクライナ軍では善良な市民が戦っています。もっと多くのドローンが必要です。ドローンがもっと多くあれば、ウクライナ国民の命を守ることができますし、ロシア軍を倒すことができます」と訴えていた。

▼ウクライナ副首相「もっと多くのドローンが必要です。ドローンがもっと多くあれば、ウクライナ国民の命を守ることができますし、ロシア軍を倒すことができます」

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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