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朝から晩までウクライナの空をロシア軍のイラン製軍事ドローンから護る領土防衛隊"シャハド・ハンターズ"

佐藤仁学術研究員・著述家
「移動式ドローン迎撃車」(ウクライナ領土防衛隊提供)

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。

2022年10月からロシア軍はミサイルとイラン政府が提供した標的に向かって突っ込んでいき爆発する、いわゆる神風ドローンの「シャハド136(Shahed136)」、「シャハド131(Shahed131)」で首都キーウを攻撃している。2023年6月になってもロシア軍によるイラン製軍事ドローン「シャハド」での攻撃は続いている。深夜や早朝に首都キーウだけでなくウクライナのあらゆる地域でイラン製軍事ドローン「シャハド」で奇襲をしかけてきている。

ウクライナ軍はロシア軍のイラン製軍事ドローンを迎撃するために、専用車「移動式ドローン迎撃車」を開発して、アラート(警報)が鳴ると、標的付近まで専用車で向かっていき車やバンの後方部に設置している機関銃や地対空ミサイルで迎撃して破壊する「移動式ドローン迎撃部隊」もつくった。2023年4月1日にはウクライナで「移動式ドローン迎撃車」と「移動式ドローン迎撃部隊」がウクライナと欧米のメディア向けに披露されていた。

ロシア軍はイラン製軍事ドローンで深夜や早朝に奇襲を多く行っている。深夜や早朝の方が暗くて見えにくいことと、迎撃する兵士の脳も昼間ほど働いていない。また民間施設への攻撃は深夜や早朝の一般市民が寝ている時の方が心理的なダメージも大きい。そのような深夜や早朝でもアラートが鳴ると「移動式ドローン迎撃部隊」らは駆けつけて迎撃している。深夜や早朝だけでなく、大雨や大雪など視界の悪い天候の日の迎撃も大変である。

ウクライナ領土防衛隊は2023年6月に公式SNSで「移動式ドローン迎撃部隊」が朝から晩までロシア軍のドローンからウクライナの空を護っていることをアピールしていた。またウクライナ東部にいるウクライナ領土防衛隊の「シャハド・ハンターズ」がウクライナの空を防衛するために常に訓練を行っているも紹介していた。

▼ウクライナ領土防衛隊の「移動式ドローン迎撃部隊」

ウクライナ軍でイラン製軍事ドローン「シャハド」を迎撃している「移動式ドローン迎撃部隊」は、「シャハド・ハンターズ」(Shahed Hunters)、「シャハド・バスターズ」(Shahed Busters)、「シャハド・キラーズ」(Shahed Killers)、「アンチ・シャハド」(anti-Shahed)などといった愛称で呼ばれている。

攻撃ドローン「シャハド」だけでなく監視ドローンやミサイルも迎撃している部隊は、「ドローン・ハンターズ」(Drone Hunters)、「ドローン・バスターズ」(Drone Busters)、「ドローン・キラーズ」(Drone Killers)、「スカイ・ガーディアンズ」(Sky Gurdians)、「スカイ・ハンターズ」(Sky Hunters)などといった愛称で呼ばれている。

▼「移動式ドローン迎撃部隊」のお披露目会(2023年4月)

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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