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2024年の幕開け、米主要メディアの一面は連日「日本」のニュース続く【アメリカでの報道】

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
ニューヨークタイムズ2024年1月3日発行号(スクリーンショットは筆者が作成)。

2024年元日に発生した能登半島でのM7.6の大地震に、翌2日の羽田空港でのJAL機と海上保安庁機の衝突事故。

新年の幕開けからこのようなショッキングな出来事が立て続けに日本で起こり、ここアメリカでも連日「Japan」が主要メディアのトップニュースとして報じられている。

ニューヨークの主要紙ニューヨークタイムズでは、元日こそガザでの食糧不足問題が朝刊のトップニュースになったものの(写真は食糧配給を待つ大勢の子どもたち)、日本時間の午後4時過ぎ(アメリカ時間の元日午前2時過ぎ)に発生した大地震はさすがに衝撃が大きく、2日付け朝刊のトップニュースになった。

ニューヨークタイムズ2024年1月2日発行号の一面(スクリーンショットは筆者が作成。解像度を落としています)。
ニューヨークタイムズ2024年1月2日発行号の一面(スクリーンショットは筆者が作成。解像度を落としています)。

さらに羽田空港での衝突事故と日本のセンセーショナルな話題は続き、翌3日付の朝刊でも(2日連続で)日本がトップニュースだった(冒頭写真)。

事故機の日本航空516便には、日本旅行中のスウェーデン人一家も搭乗していたと伝えられている。デイベさん一家は50歳の父親の誕生日を祝うために母親、17歳の長男と15歳の長女の4人で日本を訪れ、ニセコでの1週間のスキー旅行をした後、1週間の東京観光に向かうところだった。一家は誰も日本語ができないため、516便の座席を隣同士で予約することができず、4人はバラバラに座っていたという。事故直後の機内の様子について、アントンさんはこのように同紙に語った。

「みんなが日本語で叫び始めた。何て言っているか全然わからなかった」「思ったより騒ぎは少なかった。乗客は落ち着いていた。もちろん誰もが心配し怖がっていた」。また非常ドアが開いた後の避難については「すべてがめちゃくちゃ早く進んだ」とも。

緊急時の振る舞いがこのように語られている。動画などでは一部の乗客の叫び声も確認されているが、それでもおそらく母国スウェーデンや他国と比べると落ち着いていて、このような緊急時でも冷静さが失われなかったということを伝えているのだろう。

別の有力紙、ワシントンポストでも、元日のニュースをまとめたトップニュースは「日本」だった。

Monday briefing: Japan earthquake; Trump pardon pledges; Queen of Denmark; College Football Playoff; Mickey Mouse; and more(月曜日の議題:日本の地震、トランプ氏の恩赦の公約、デンマークの女王、カレッジフットボールプレーオフ; ミッキーマウスほか)

テレビの報道も新年になって日本の話題が続いている。

元日のNBC局の世界中の出来事をまとめたダイジェスト版は、トップニュースとして日本での巨大地震をピックアップした。

「新年早々、日本で死者が出る地震が発生。津波警報も」と進行役。

翌2日のニュースダイジェストも「大地震後、日本で死者が出る航空事故が発生」と、2日連続で日本の話題が世界のトップニュースとして扱われた。

時間を追って被害状況が明らかになっており、このような連日の日本関連の報道を筆者は胸が締め付けられる思いで見守っている。同時に、2011年の東日本大地震が発生した際のことを少し思い出した。悲惨な津波や福島の原発事故を含めたセンセーショナルなニュースがしばらく続き、見知らぬ人(街の郵便局員など)からも悼む声がかけられたこともあった。そんな中、いつしか日本人の心の優しさと思いやり、震災の混乱期であってもきちんと列を成して配給品を受け取る姿、ボランティアによる支援や助け合いなど、逞しい復興の姿についても伝えられ、こちらの人の心に響いたものだ。アメリカを始め世界中の人々も、日本の底力を、この重なる悲劇から再びどう立ち上がりを見せるかを、静かに見守っているはずだ。

(Text by Kasumi Abe)無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、著名ミュージシャンのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をニューヨークに移す。出版社のシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材し、日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。

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