神戸製鋼のリーグ連覇に死角無し!昨夏日本国籍取得したナエアタ ルイの突進力が将来の代表を支える?
【4000人超のファンの前で神戸製鋼が圧勝】
週末にラグビーのトップリーグ第2節が実施され、リーグ2連覇を目指す神戸製鋼が地元神戸でキヤノンと対戦し、11トライを奪う猛攻を見せ、73対10と圧勝した。
神戸製鋼が地元で公式戦を戦うのは、新型コロナウイルスの影響で打ち切りになった昨シーズンの2月23日以来のこと。当時兵庫県は非常事態宣言下にあり、入場者数も5000人以下に制限される中、4407人のファンが集結し、神戸製鋼の選手たちに熱い視線を送った。
そんなファンの期待に応えるように、第1節ではNEC相手にディフェンスが乱れ47対38と予想外の苦戦を強いられたが、1週間で見事な修正を見せ、NECより格上のキヤノン相手に圧勝した。
試合後のデーブ・ディロンHCも「先週のパフォーマンスを踏まえて、今日の試合では選手たちが最後まで走るという良い姿勢のまま戦ってくれた」と満足そうに話している。
【圧巻の5トライで得点トップに躍り出たナエアタ選手】
キヤノン戦で改めて浮き彫りになったのが、能力に長けた選手が集結した神戸製鋼のチーム力の高さだ。チームとしてだけでなく、選手の個々の能力においても終始キヤノンを圧倒していた。
中でも圧巻だったのが、キヤノン戦だけで5トライを記録し、マン・オブ・ザ・マッチに選出されたナエアタ ルイ選手だ。
前半はドライビングモールからゴールラインを突破し2つのトライを決めると、後半は積極的にライン参加し、タッチライン際でボールをもらい、そこから強烈な突進力でさらに3つのトライを奪った。
この結果、第1節のNEC戦で挙げた2トライを加え、2試合で7トライを記録し、キッカーたちを押さえて得点ランキングでリーグトップに躍り出ている。
【昨季から注目されていたトライゲッター】
ナエアタ選手のフィジカルの強さ、突進力、豊富な運動量は、昨シーズンから目立つ存在だった。
昨シーズンまではトンガ国籍選手として「タウムア・ナエアタ」として選手登録され、昨シーズンは開幕から全試合にナンバー8で先発起用され、第6節の東芝戦以外の5試合でフル出場を果たしている。
また第4節のNTTドコモ戦で5トライを奪う活躍をみせ、昨シーズンも6試合で9トライ(ヤマハ発動機のマロ・ツイタマ選手の11トライに次ぐトライ数)を記録するなど、トライゲッターの片鱗を見せていた。
ナエアタ選手はトライについて「ピッチ上にいる15人がハードワークしてくれたことによって自分がトライできている」と謙遜気味に話しているが、彼のゴールライン付近で負けないフィジカルの強さがあるからこそ、トライを決めきれるのだ。まさにラグビー選手にとって最大の武器を有しているといえる。
【日本国籍取得で次期WCの代表有力候補に】
今シーズンの2試合を見る限り、ナエアタ選手のプレーは、さらに磨きがかかっているようだ。それはオフの過ごし方に隠されている。
新型コロナウイルスの影響でシーズンが打ち切りになってからも、ナエアタ選手はトンガに戻らず日本に残り、チームからメニューをもらいながらずっとトレーニングを続け、コンディショニングを維持してきたという。
「去年シーズンが終わった後もトンガに帰らなくて、ずっと日本にいました。そこからずっと練習していて、今シーズンが始まるのをずっと待っていました」
昨シーズンの選手登録は193センチ、110キロだったが、今シーズンは193センチ、118キロと増量に成功しており、ナエアタ選手によると体脂肪は昨年と変わっていないようなので、その分筋肉量を増やしたことになる。それが更なるフィジカルの強さを生み出しているようだ。
昨シーズンも日本代表入りを熱望する発言をしていたが、昨年夏に晴れて日本国籍を取得したことにより、今シーズンから帰化選手扱いになり、登録名も前述通り「ナエアタ ルイ」に変更。現在27歳という年齢を考えれば、次期ワールドカップに向け、貴重な戦力が日本代表に加わることになりそうだ。
【今季も活躍しそうなオールブラックス勢】
リーグ屈指のチーム力を生かしキヤノンに圧勝した神戸製鋼だが、それでも現在のチーム力は万全というわけではない。
現在も共同キャプテンの日和佐篤選手をはじめ複数の主力選手たちが負傷のため離脱している。その中の1人が、昨シーズン限りでチームを去った“伝説級のスタンドオフ”ダン・カーター選手に代わり新加入した、オールブラックスでキャップ数50を誇るアーロン・クルーデン選手だ。
彼が離脱中ながらもレベルの高い試合ができている理由の1つが、昨シーズンからチームに加わっているブロディ・レタリック選手と、クルーデン選手とともに新規加入のベン・スミス選手のオールブラックス勢の存在があるからだろう。両選手ともに今シーズン2試合でフル出場を果たしている。
神戸製鋼の強さはまだまだ底が知れない。