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58号バレンティン「ボンズはどうだ?」 

菊田康彦フリーランスライター

15日の阪神タイガース戦で2本のホームランを打ち、年間本塁打の日本記録を49年ぶりに塗り替えた東京ヤクルトスワローズのウラディミール・バレンティン選手。1日置いて行われた17日の横浜DeNAベイスターズ戦は4打数ノーヒット2四球に終わりましたが、翌18日の同カードで今季58号本塁打を放ち、自身の記録を更新しました。

13日からの阪神戦でファンに配られた「バレンティンお面型うちわ」
13日からの阪神戦でファンに配られた「バレンティンお面型うちわ」

昨日の試合は取材に行けなかったのですが、あれほど多かったメディアの数もグッと少なくなった17日の試合前には、バレンティン選手と少し話をする機会がありました。新記録を達成して「ホッとした」と言いながらも疲れは隠せない様子でしたが、「まさか“57号”を目の前で見る日が来るとは思わなかった」と伝えると「57号を見たのは初めてか? でも、もっと見られるよ」とニッコリ。ただし、今シーズンあと何本打てるかは「わからない」とのことだったので、「次はベーブ・ルース(の60本)かな。サミー・ソーサの66本はどう?」と振ると、自ら「バリー・ボンズはどうだ?」と言ってサングラスをしたままニヤリ。傍らにいたアナウンサー氏の「73本!?」の声に、「残り18試合で16本かぁ…」としばし考えを巡らせていました。

「三冠王への挑戦」にも注目

さすがにボンズが2001年にサンフランシスコ・ジャイアンツで放ったメジャーリーグ記録の73本塁打という数字は難しいでしょうが、日本ではまさに夢だった60本は限りなく現実に近づいてきました。そしてバレンティン選手にはもう一つ、大記録の可能性があります。それがNPBでは2004年の松中信彦(ダイエー)以来、セ・リーグに限れば1986年のランディ・バース(阪神)以来27年ぶりとなる三冠王です。昨日の試合を終え、バレンティン選手は打率.338、58本塁打でどちらもリーグトップ。さらに122打点は、1位のトニ・ブランコ選手(DeNA)に3点差まで迫っています。

というわけで、今後もバレンティン選手がホームランの数をどこまで伸ばすのか目が離せませんが、一方で「三冠王への挑戦」にも注目していきたいと思います。次にヤクルトのゲームを取材するのは24日からの巨人戦(神宮)の予定ですので、新たな情報があればまたお伝えします。果たしてヤクルト球団初の三冠王誕生はなるでしょうか。

フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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