“ギャグつなぎ”で再評価、菅田将暉を作った水色のランドセルと「ちびまる子ちゃん」
新型コロナウイルスであらゆるエンターテインメントが停止する中、お笑いコンビ「品川庄司」の庄司智春がツイッターで始めた“ギャグつなぎ”が話題になっている。
庄司から始まり、これまで東野幸治や藤井隆らがギャグを披露。ギャグを終えたら次に“バトン”を渡す人間を指名するリレー方式になっているが、この試みが注目される大きなきっかけになったのが俳優・菅田将暉の参加だった。
菅田にバトンを渡したのは漫才コンビ「令和喜多みな実」の野村尚平。SNSで相互フォローはしているが普段から付き合いがあるわけではない。いわば、いきなり来たムチャぶりでもあったが、俳優としてのスキルを活かした笑いを発信した。
6日放送のニッポン放送「菅田将暉のオールナイトニッポン」では「ギャグはないから、悩んだんですよ」と逡巡があったことも明かしているが、結果、バトンを受けて参加したことが話題になり、菅田の評価をさらに上げる形にもなった。
一連の流れを見る中で、2018年にYahoo!拙連載で菅田の両親にインタビューした時のことが頭をよぎった。
当時の取材メモを見返すと“人に優しくする”“人の役に立つことが大切”と考える原風景は幼い日にあったことがうかがえる。
菅田には2人の弟がいるが、3人とも母親が自宅で自然分娩で出産した。長男である菅田は二男、三男が生まれてくるところを一部始終見る形となった。
「そこが人への愛の原点になっていると思います。弟に対しても、小さな父親のように見守ってきました。大阪に戻ってきたら、7学年離れている三男を買い物に連れて行って、たくさん洋服を買ってくれたりもしていますし。ウチは、兄弟げんかをしているところを見たことがないんです。命がどうやって生まれてきたのか。そこを自分の目で見ているから、親バカかもしれませんけど、優しい子になってくれたのかなと思っています」(菅田の父)
また、芸人ではない自分がリレーに入ることでいろいろな意見が出ることも予想されるが、それでも思いがあることならばやる。周囲に流されず、自分を貫く。その原点は小学生の時のランドセルからも垣間見ることができる。
小学校に入ると、父親の意志もあり、非常に目立つ水色のランドセルを背負っていた。多感な時期だけに、人と違うランドセルはいじめの対象にもなりかねない。
しかし、父親には「ランドセルの目立ち方なんて目立たなくなるくらい、自分の色の強い男になれ」という思いがあり、実際、それに応えるようにランドセルが埋没するほど、学校でも中心的な存在になっていったという。
また、お笑いへの愛も、俳優としてのスタートラインが示していた。初めて人前で芝居をしたのは中学2年の文化祭。菅田のクラスは、菅田がシナリオを考え、自らが主演。演出、衣装、照明などにもこだわり舞台を作った。
舞台の題材となったのはアニメ「ちびまる子ちゃん」。そこにタイムスリップの概念を加え、菅田ははなわ君をモチーフにした役を演じ、笑いに溢れた作品になったという。
「中学生がやることですから、クオリティーはそれなりだったんですけど(笑)、見ているこちらからしても一致団結して楽しそうだなぁという空気は伝わってきました」(母親)
菅田将暉は一日にしてならず。今回のギャグつなぎも、実は、これまでの自分からのバトンを受けたものだと考えると、また味わい深い。