Yahoo!ニュース

“一点突破型芸人”たけだバーベキューが売れた理由

中西正男芸能記者
バーベキューの知識を生かし、活動の幅を広げるたけだバーベキュー

 卓越したバーベキューのスキルを武器に、一点突破ともいえるスタイルでオファーが殺到中のピン芸人・たけだバーベキューさん(33)。もともとはコンビで漫才やコントなどをやっていましたが、6年ほど前から、今のバーベキューに特化した活動を始め、レシピ本はアウトドア関連書籍としては異例の5万部超を売り上げました。大阪・万博記念公園にできたバーベキュー施設も監修するなど、さらに歩みを進めていますが、ここまできた最大の理由はバーベキューの技術でも知識でもない、別のものだと断言しました。

コンビ解散からバーベキュー芸人へ

 もともとは、NSC大阪校の27期生として、相方と一緒にこの世界に入りまして、漫才やコントをやっていたんです。そんな中、大きなきっかけとなったのは、6年ほど前、たむらけんじさんが主催されていたお花見でした。

 学生時代から、バーベキューというかアウトドアが好きで、19歳で車の免許を取ってからは、頻繁に友だちとキャンプやバーベキューをしていました。その中で、ま、あくまでも趣味ですけど、スキルが高まっていて、いつもの感じで、たむらさんのお花見でそれをやらせてもらったんです。

 そこで、たむらさんが「お前のバーベキュー、すごいな!パエリヤとかもできるんや」とすごく喜んでくださいまして。「こんなんできるって、みんなに言うてんの?」と尋ねられたので「いや、趣味ではやってますけど、特に広めるようなことはしてません」と答えたら「これは絶対に言っていくべき。もったいないで、もっと広めるようにした方がエエよ」となりまして。

 そこから衣装もアウトドアっぽい衣装にしたり、トングを持って舞台に出て行ったり(笑)。まだコンビを組んでいた時期でしたけど、ピンとしてバーベキューネタで「R-1ぐらんぷり」に出たりするようになっていったんです。

画像

初の著書が異例の売り上げ

 そこからコンビは別れて今のピン芸人の形になるんですけど、バーベキューを打ち出したスタイルになってからは、本当に自分でも驚くほどにお仕事をいただけるようになりまして。

 バーベキューを打ち出してすぐブログを書き始めたんです。バーベキューの話だけを書くブログを。それが出版社の方の目にとまって「本を出しませんか?」と。また、その本がアウトドア関連の書籍としては異例の5万部以上売れて、それが名刺になった。そして、さらにお仕事をいただけるようになったんです。

 土日はバーベキュー講座とか講演会。平日は手掛けているレシピ本の打ち合わせやメニュー考案、雑誌の企画もの、テレビロケなど。プライベートでもバーベキューはしてますんで、ほぼほぼ日々バーベキューです(笑)。

向井理とバーベキュー

 仕事も収入もいただけるようになって、どこまでもありがたいばかりなんですけど、一番驚くのは仕事の中身と共演者の方ですね。普通に若手芸人として階段をのぼっていったとしたら、まず巡り合えないであろうお仕事もいただける。これは日々感じています。

 例えば、俳優の向井理さんと2人だけで車に乗ってキャンプ場に行ってバーベキューをするというお話もありました(笑)。TBSテレビ系「櫻井・有吉THE夜会」のコーナー企画だったんですけど、こんなお仕事、普通に若手芸人としてどれだけステップアップしても、普通はもらえないでしょうし、バーベキューという要素があることの強みをこれでもかと痛感しています。

 でもこういった流れの根本をいただいたのは、先輩方とのご縁だと心底思います。

画像

名前が独り歩き

 たむらさんが「絶対に言った方がいい」と言ってくださったおかげで僕もそこのキャラクターを出していくようにもしました。そして、たむらさんや、千原ジュニアさんら一緒にバーベキューをして、ほめてくださった先輩方が、方々で「たけだバーベキューのバーベキューはすごい!」と言ってくださっていたおかげで、それがテレビ局のスタッフさんらの耳に入っていった。

 しかも、そういった影響力の強い先輩方が熱を込めて言ってくださるので、よりスタッフさんの心にも突き刺さる。この流れは何にも変えられないものですし、このご縁こそが、間違いなく、今の状況を作ってくれています。

 皆さんが僕の居ないところで本当にいろいろと話してくださっていたおかげで、例えば、普通に考えたら、キャリア的に超若手の僕のことなんてご存じないはずの大師匠方も、僕の名前だけは知ってくださっていて、劇場とかでお会いした時に「君が、あのたけだバーベキュー君かいな!」と言ってくださる。名前が独り歩きしてくれるというか。どこまでも、ありがたい話です。

バーベキューとお笑い

 多い時には週に11回バーベキューをやったりもしてますけど(笑)、それだけやっても、毎回楽しいんです。エンタメ性がすごくあるというか。焼いたお肉を切る瞬間も歓声があがるし、その前に塩を振る時でも盛り上がるし、もっというと、買い物の時からみんながワイワイしている。どのシーンを切り取っても、常に楽しいんです。焦げたりして失敗しても、それはそれで面白いし、良い思い出になる。

 一回の食事という枠を超えた楽しさがある。何をどうしても、楽しい。ここがバーベキューの魅力ですし、お笑いとの親和性もすごく高い。そこも面白いなと思います。

 そもそも趣味でやっていたことが、先輩方とのご縁で仕事になった。ただ、いつまでもこれだけで呼んでもらえるかどうかは分からない。なので、まだ今呼んでもらっているうちに、さらに楽しんでもらえるような要素を考えていくのも大切なことだと思っています。

画像

 今、一緒にバーベキューをしたい人ですか?そうですねぇ…。これからは少しは時間ができるかも?しれないし、もしイチローさんとできたら最高ですね。今までは食生活もすごく気を使ってらっしゃったと思いますので、ここからは、たまには思いっきり脂身も多いスペアリブとかも食べてもらいたいです(笑)。マシュマロ焼いてクッキーで挟んでチョコをたっぷりかけたり。

 誰とでも打ち解けられるのがバーベキューの楽しさでもあるんですけど、さすがにイチローさんがホンマにいらっしゃったら、僕も緊張で多少、肉は焦がすかもしれません(笑)。ま、それも含めて、楽しんでもらえたら最高だなと。

(撮影・中西正男)

■たけだバーベキュー

1986年1月17日生まれ。兵庫県加古川市出身。本名・竹田昌史。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。NSC大阪校27期生。約8年間、コンビでの活動を行い、2012年からピン芸人として再スタート。趣味で学生時代からやっていたバーベキューの技術を生かしたバーベキュー芸人として注目を集める。バーベキュー上級インストラクター資格を取得。13年には著書「豪快バーベキューレシピ」を発売し、アウトドア関連の書籍としては異例の5万部超の売り上げを記録した。大阪・万博記念公園のバーベキューコーナー内の施設「b-base」を監修するなど、アウトドア関連の識者としても注目されている。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

中西正男のここだけの話~直接見たこと聞いたことだけ伝えます~

税込330円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

中西正男の最近の記事