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豊島王位防衛か、木村挑戦者追いつくか 王位戦七番勝負第6局始まる

松本博文将棋ライター
(記事中の写真撮影・画像作成:筆者)

 9月9日。神奈川県秦野市鶴巻温泉「元湯 陣屋」において王位戦七番勝負第6局▲木村一基九段(46歳)-△豊島将之王位(29歳)戦、1日目の対局が始まりました。

 七番勝負の成績は豊島王位3勝。木村九段2勝。豊島王位が勝てば初防衛達成。木村九段が勝てば両者3勝となって、最終第7局に進みます。

「はい、それでは定刻となりましたので、木村挑戦者の先手番で対局を始めてください」

 朝9時。立会人の先崎学九段の合図の後、両対局者は「お願いします」と互いに深く一礼しました。

 木村九段の初手は▲2六歩。豊島王位の2手目は△3四歩でした。以下は互いに飛車先の歩を突き合う「相掛かり」の進行となりました。

 木村九段が25手目▲7六歩を突いた後、時刻は12時を過ぎました。昼食休憩は12時30分から13時30分まで。

 持ち時間は各8時間。1日目の対局は18時の時点で手番の側が「封じ手」をおこなって「指し掛け」となります。

 勝負の決着がつくのは、通例では明日2日目の夜となります。

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木村九段、第7局に持ち込めるか?

【過去記事】

豊島将之王位(29)初防衛まであと1勝 王位戦七番勝負第5局で木村一基九段(46)を降す

https://news.yahoo.co.jp/byline/matsumotohirofumi/20190828-00140243/

充実著しい豊島将之名人(29)スキのない盤石の強さで竜王挑戦権獲得

https://news.yahoo.co.jp/byline/matsumotohirofumi/20190905-00141436/

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 王位戦七番勝負と竜王戦挑戦者決定戦三番勝負、合わせて「十番勝負」も最終盤を迎えました。

 竜王戦では豊島名人・王位が2勝1敗で竜王挑戦権を獲得しています。

 王位戦では第6局で木村九段勝ちとなれば、王位戦もフルセット。そして「十番勝負」もフルセットとなります。

 悲願のタイトル獲得に向けて、ファンの大声援を受けて戦う木村九段。逆転の望みはもちろん十分あるでしょう。

 王位戦では、木村九段はここ11期のうち4期で挑戦者となっています。

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 星取りを挑戦者の木村九段の側から見てみましょう。

 2009年は深浦康市王位に千○○○●●●●(3勝4敗)

 2014年は羽生善治王位に○●持●●○●(2勝4敗1持将棋)

 2016年は羽生善治王位に○●●○○●●(3勝4敗)

 2019年は豊島将之王位に●●○○●(現在2勝3敗)

 

 持将棋は引き分けで、タイトル戦の番勝負では1局としてカウントします。それを含めれば、過去3期では必ず第7局まで進んでいます。

 対局者がそれぞれ3勝2敗-2勝3敗となったシリーズは過去59期のうち33期。そのうちの15期はカド番の側が勝ち、両者ともに3勝3敗となって、最終決戦にもつれこんでいます。

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将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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