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「おもしろ荘」準優勝、「R-1ぐらんぷり」決勝進出、「セルライトスパ」快進撃のワケ

中西正男芸能記者
「セルライトスパ」の肥後裕之(左)と大須賀健剛

 元日未明に放送された日本テレビ系「ぐるナイ おもしろ荘2019 若手にチャンスを頂戴!今年も誰か売れてSP!!」で準優勝したお笑いコンビ「セルライトスパ」。また、先月30日にはツッコミの肥後裕之さん(33)に第一子となる長女が誕生しました。昨年8月に同じく長女を授かったボケの大須賀健剛さん(34)は父になった思いを込めたピンネタで関西テレビ・フジテレビ系「R-1ぐらんぷり2019」で決勝進出を果たしました。まさに、公私ともに充実のコンビですが、ここに至るまでには先輩からの支えがあったと言います。

2人とも長女が誕生

肥後:生まれてすぐの頃は、親になった実感みたいなものがなかなかわいてこなかったんですけど、おむつを替えたり、ミルクをあげたりする中で、じわじわと出てきましたね。言葉が分からないので、この子が何を求めているのかを分かってあげたい。その思いが親としての自覚の第一歩なのかなと。あと、これも親心と言いますか、顔が僕にそっくりなんです…。顔はどんどん変わっていくとは言いますけど、女の子なのに大丈夫なのかなと心配になるのも親の思いなんでしょうね。

大須賀:女の子はお父さんに似ると言いますからね。うちもそっくり。目がいい具合に離れてて。ま、僕はミランダ・カーと呼んでいるんですけどね(笑)。

肥後:だいぶ、前向きにとらえてますね(笑)。

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父としての自覚

大須賀:やっぱり親になって思うこともあります。僕、将棋が大好きでずーっとやっている将棋のアプリがあるんです。ただ、子どもの写真を携帯電話の待ち受けにしてから、待ち受け画面を見るたびに「あ、ダメだ」と思って、将棋アプリをスッと消して、ネタを書くメモ帳ページに飛ぶようになりましたね。

肥後:以前はお風呂に入る時でも、将棋アプリをやってましたからね。

大須賀:将棋アプリを控えるのもそうですけど、娘ができて、もうここからはやるしかない。家族を守るしかない。その思いがあって、結果「R-1」でも初めて決勝進出することができました。しかも、そのネタが“赤ちゃんを抱っこしながら、いろいろなことをつぶやく”という内容で、これは完全に子どもが生まれたからこそできたネタ。幾重にも、娘に感謝です。

肥後:コンビとしても、お正月の「おもしろ荘」での準優勝は本当に大きかったなと感じています。これまでの活動でトップクラスの反響がありましたしね。やっぱり大きな番組なんだなと日に日に影響を強く感じています。実際「おもしろ荘」きっかけに新しいお仕事が入ってきそうな動きもありますし、ただただありがたいお話だなと。

大須賀:これは本当にリアルな話なんですけど、名刺というか、看板というか、そういうものができて、見てくださる方々も「この人たちは面白いことをやる人だ」と期待して見てくださるというか。劇場でも励みになりますし、賞レースなどでもやりやすくなるし、より一層、今年は頑張らないといけないなと思っています。

コンビ結成10年

肥後:コンビを組んで今年で丸10年。頑張らないといけませんからね。そもそも、僕らがコンビを組んだのもよく考えたらすごい流れだなと。僕は鹿児島の出身で、大須賀は愛知。僕は中学生の頃から、将来はお笑いの世界に入りたいと思って、大阪に出てきたんです。吉本興業の養成所・NSCに入って、そこで大須賀に会うんですけど、その時に相方が“きつく縄で自分を縛りながら、ゆるいエピソードトークを話す”というネタをやっていて。この人と組みたい!と思って、僕から声をかけました(笑)。

大須賀:僕が芸人になったのは、ま、これは面白い話とはまた違う感じになりますけど、もともと僕はエンジンの工場で働いていたんです。2年ほど働いた時に、世界一周するピースボートのポスターを見かけて、直感的に「行こう!」となりまして。その中で、アフリカとかで子供たちに会うと、物資的には日本よりも圧倒的に乏しくて本当に厳しい生活をしているのに、すごくニコニコと元気に自由に生きている。その姿を見て衝撃を受けたと言いますか、僕はずっと恵まれた環境の日本にいて、なんで好きなこともせずにいるんだろうと。そこで、ずっと好きだったお笑いをやることを決めたんです。大阪で肥後に会うんですけど、どれだけスベってもギャグを連発していたので、これだけハートが強い人もいないと、また別の衝撃を受けて組むことを決めました(笑)。

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先輩からの言葉

肥後:今日までやってこられたのは、要所要所で、先輩方がありがたい言葉をくださったからだと思っています。「キングオブコント」で前年は準決勝までいったのに、準々決勝で落ちてしまった年がありまして。その時に「キングオブコント」王者「かまいたち」の山内(健司)さんが「君らはいつでも(決勝に)いけると思っているから」と言ってくださったんです。一番自信をなくしている時に、実際に最後まで勝ち残ったチャンピオンからその言葉をいただいて、シンプルに「あ、いけるんや」と。ふとした時の言葉でしたけど、それがこちらの心には大きな支えになったというか、あれは忘れられない言葉でした。

大須賀:僕は「天竺鼠」の川原(克己)さんに喝を入れてもらいました。「自分が面白いと思うものをやった方がいい」と言っていただいていたんですけど、僕が万人受けするようなネタを作りにかかったりする時もあったんです。やっぱり、ウケを求めるところもあるし、心が折れたりする時もあった。そんな時に「それは本当にお前がしたいネタなのか」と言っていただいて、また、そこで改めて気を引き締めるというか。川原さんはずっとブレずにやられている方なので、貫けばそこに道ができるということを実際に見せてもらっているのが大きいなと思っています。

肥後:本当にいろいろな方にお世話になっていますからね。MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して」にも去年の4月から出演させてもらっているんですけど、毎週、すこ~しじゃなくて、いっぱい愛してもらっているので、頑張らないといけないなと思っています。この番組に出させてもらうようになってから仕事も増えましたし、さらに賞レースで優勝するとか、新たなレギュラーをつかむとか、そういう結果を出すことが僕らができる恩返しになるのかなと。

大須賀:目の前のことを一つ一つ一生懸命頑張る。それが、結果的に先を見据えたことにもつながっていくのかなと考えています。

肥後:大須賀も将棋アプリを控えるようになりましたけど、僕も子供ができて、ずっとやっていたゲームのアプリをスパッとやめました。その分、ネタにもより一層力を入れて、今年の「R-1」は2回戦までいきました!これまで1回戦で負けていたので2回戦までいったのも一歩前進ですからね。ま、相方ほどの劇的なステップアップではないですけど…、この調子で頑張りたいなと。

大須賀:また、ネタの中身が人の親になったとは思えない内容で…。

肥後:相方は赤ちゃんを抱っこするネタで決勝進出しましたけど、僕は“遠くから大声でナンパするヤツ”というネタでして…。2回戦は会場で一人も笑わずに落ちました。大声出してスベるというのは、なかなかに恥ずかしくもありましたけど、来年は3回戦以上にいけるよう、子どものためにも頑張ります!

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(撮影・中西正男)

■セルライトスパ

1985年5月31日生まれで鹿児島県出身の肥後裕之と84年6月1日生まれで愛知県出身の大須賀健剛が2009年にコンビ結成。ともにNSC大阪校31期生。「MBSラジオ演芸 ヤングスネーク杯」優勝、「ABCお笑いグランプリ」優勝、日本テレビ系「おもしろ荘2019」準優勝。3月10日に決勝戦が行われる「R-1ぐらんぷり2019」に大須賀が出場する。肥後は15年、大須賀は16年に結婚。昨年8月に大須賀、今年1月に肥後にともに第一子となる長女が誕生している。MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して」でコーナーレギュラーを務めている。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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