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成人は男性6980歩、女性6030歩…一日の平均歩数の実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 毎日の定期的なウォーキングも健康増進のためには良い習慣(写真:アフロ)

健康維持管理のために積極的に歩く機運は高まりを見せ、歩数計のスマートフォン用アプリも多数登場している。実情として人々はどれほど歩いているのだろうか。厚生労働省から2017年9月に発表された定期調査「国民健康・栄養調査」(※)の最新版となる2016年分における概要報告書から、その実情を確認する。

一般に徒歩で行けると回答者自身で認識している距離は、歳を重ねるに連れて減少する。また健康の指針の一つ「健康日本21(第二次)」では、成人男性9000歩・女性8500歩以上を1日の目安としている(【健康日本21(第二次)】)。さらに世間一般では区切りの良い「1日1万歩」を目標に歩くよう指示される場合も多い。

今回の調査結果では、1日平均の歩数は男性6984歩・女性6029歩となり、女性より男性の方が高い値が出ている。これは平均値だけでなく、各年齢階層別に見ても同様の結果が確認できる。

↑ 歩数平均値(20才以上)(歩/日)(2016年)
↑ 歩数平均値(20才以上)(歩/日)(2016年)

体力の減退などの理由から、歳を重ねるに連れて歩数が減っていくのは仕方のない話。しかし男性が20代をピークとして30代以降は歳と共にきれいに減っていくのに対し、女性は20代以降60代まで大きな違いはなく、70歳以上ではじめて大きく減る動きを示しており、歩数の減り方に男女差が見られるのは興味深い。単純に肉体的な変化だけでなく、生活様式の違いも歩数に大きな影響を与えているものと考えられる。

男性の動向は就業者による外出傾向が多分に影響しているものと考えられる。また女性では30代でややへこみが生じるのは妊娠・出産で減るため、40代から50代で再び増加するのは子育てとパート関連で歩く機会が増えるのが原因と推定される。この動きはここ数年来続いており、単にイレギュラー的なものではない。

ちなみに報告書では過去の値も合わせて掲載されており、以前のものも含めてグラフ化したのが次の図。2012年分以降では100歩未満、5万歩以上の回答値は除外して平均値を算出している。

↑ 歩数平均値推移(20才以上)(歩/日)
↑ 歩数平均値推移(20才以上)(歩/日)

何度かの起伏を繰り返しながら、中期的には漸減する動きを見せている。10年強の間に平均値は500歩前後ほど減っているが、これは交通網の発達に加え、全体に占める高齢者=歩数が少ない人の増加が要因として挙げられる。

この「高齢者の調査対象母集団比率増加に伴う、有意な平均値の減少」の実情を受けて、2014年調査分からは「国民健康・栄養調査結果」の年次推移公開値のいくつかにおいて、年齢調整が成されたものも併記される形となった。これは国勢調査結果における人口構成比を基準として、各年の値で補正を行ったもので、年齢階層別人口構成比の変化によるぶれを補正することができる(公開されているのは2004年以降の分のみ)。

↑ 歩数平均値推移(20才以上)(歩/日)(年齢調整後)
↑ 歩数平均値推移(20才以上)(歩/日)(年齢調整後)

男性は2004年から2008年にかけてやや減る動きがあるが、それ以降は横ばい。女性もほぼ横ばいで推移している。歩数平均値の減少が、実質的には高齢者の増加によるものであることが確認できた次第。

ケガや出産、高齢によるケガのリスクを考えた上での自制は別にしても、若さがありあまる年齢のうちは、積極的に歩くよう心がけたい。それだけでも十分な運動になり、体を鍛えることにもつながるのだから。

昨今では数百円で歩数計を手に入れることもできる。スマートフォンを持っていれば歩数計アプリは山ほどある。最近では「Ingress(イングレス)」や「ポケモンGo」のように外歩きを促進させるデジタル世代の遊びも提唱されている。自分の歩数実態を把握し、「歩くこと」を健康管理の一環としてみてはいかがだろうか。

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※国民健康・栄養調査

健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素など摂取量及び生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とするもの。直近年分の調査時期は2016年10月から11月。調査実施世帯数は10745世帯で、調査方法は調査票方式。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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