インド軍、中国との国境緊張化に備えてAI・ロボット・ドローンを積極的に活用へ
インドと中国での国境での緊張状態が続いている。2020年6月にはインド軍と中国軍の衝突が起こり、インド側に20人の死亡者が出てからは、いっそう緊迫している。その余波でインドではTikTokをはじめとする中国のアプリの利用が禁止になった。インドにおける反中国感情もいっきに高まっている。
インド軍は中国との国境での緊張状態に備えて、AIやロボット、ドローンを活用した軍事戦略とそのような紛争に向けた準備を本格的に進めていると地元メディアのTimes of Indiaが報じていた。インド軍はAIやロボット、ドローンなどを「適材な場所における破壊的な戦争技術(“niche and disruptive warfare technologies”)」と位置付けており、中国が軍事分野においてAI、ロボット、ドローンの活用において、非常に発展していることから、中国との国境における緊張状態において、これら技術の本格的な軍事活用の研究も進めていく。
インド軍は2018年に「インド陸軍ドクトリン2018」を発表していた。その中で、今後のインド軍の軍事戦略を「Integrated Battle Groups(IBG:統合型戦闘グループ)」であると位置づけ、そのような戦闘を推進していくためには、AI、ロボット、レーザーや小型衛星を活用した軍事力を積極的に推進していくことと、サイバー戦争の能力をさらに高めていくことを明らかにしていた。
AI、ロボット、ドローンの軍事での活用は技術発展の流れからも必然である。だがAIを搭載した兵器やロボットによって、人間が判断しないでAIが判断して標的や敵を攻撃する自律型殺傷兵器の開発と使用が、非倫理的という理由から懸念されている。またロボット同士の戦いになって、人間の犠牲者が出ないかもしれない。だが、そうなると敵国に対するダメージの与え方が変わってしまい、人類の戦争の形態が変わってしまう。AIを搭載したロボット兵器が開発されたとしても、そのようなロボットが標的にしてくるのは、生きている人間か人間生活に関わるインフラのどちらかだろう。人間(国民)と国土へのダメージが国家への最大のダメージとなり、敵国にダメージを与えるのが戦争である。技術が発展し、軍事分野でもAI、ロボットの導入は進められており、戦争の戦い方や形態は変わる可能性はある。だが、結局のところ、紛争の犠牲になるのはいつも人間であることには変わらないのだろう。