ついに消費者庁がサポートしはじめたマイクロソフトのWindows10アップグレード
KNN ポール神田です!
Windows 7/8.1からWindows 10へ無償でアップグレードできるのは、2016年7月29日(金)まで。あと、4週間となった。同時に、Microsoftの強引なアップグレード手法に対して、米国では、1万ドルの賠償金が認められた。なぜ?ここまでして、強引な手法でアップグレードをMicrosoftは迫るのだろうか?
実際にこれらの状況をふまえてか、Microsoftは、アップグレードの通知方法を緩和したようだ。
ユーザーの現在の状況を考えられないMicrosoft
このような強引なアップグレード手法は、何も今にはじまったことではない。「Windowsあるあるハナシ」として、外出時にノートPCを操作しており、時間となり、操作を終えようとした瞬間、「ソフトウェアをアップデートしています。コンピュータの電源を切らないでください」と終了したい時に、インストールをはじめるなんてことは、以前から日常茶飯事だった。Windows10のアップグレードに関しても、アップグレードの断りかたがわからず、作業が中断させられたり、しばらく業務にもどれないなどの問題点はよく指摘されていた。そして、2016年6月22日(水)からは、ついに、消費者庁が異例のWindows10のアップグレードの注意のサポートに繰り出すという状況にもなっている。消費者庁に聞いた。
ついに消費者庁がサポートしはじめたマイクロソフトのWindows10無償アップグレード
消費者庁が異例のPDFの配布をおこなっている「Windows10への無償アップグレードに関する確認・留意事項」
http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/160622adjustments_1.pdf
このPDFを公開するのは、消費者庁へ、多数のクレームが集まったと想定しているが、消費者庁はなぜ?Microsoftに対して、行政指導や注意勧告を行わないのか?
「Windows10のアップグレードに対しての今回の対応は、クレームなどがあったからではなく、あくまでも想定されるであろう注意を喚起としての対応です。なので、なんら行政処分や表示の指導や勧告を行うものでもありません。もちろん、日本のMicrosoft社を通じて、改善を求めている意見はさせていただいている」
とのことだった。
あくまでも、消費者庁は、影響の大きさからの消費者保護の為の自主的な対応であるという。しかし、「アップグレードのポップアップウィンドウ」は、この注意書きを見てもよくわかる通り、誤解を非常に招きやすいものだ。いや、意図的に、アップグレードへと誘導されているようなポップアップであることは事実だろう。
ポップアップウィンドウのアップグレードをキャンセルする方法が消費者庁のPDFで明記されている。これでは国の税金を使って、マイクロソフトのサポートを行っているようなものだ。
実際にMicrosoftのWindows10のサポートページを見てみよう。
https://www.microsoft.com/ja-jp/atlife/article/windows10/guide/default.aspx
通知に関するサポート
https://support.microsoft.com/ja-jp/kb/3095675
消費者庁の注意喚起の文言とはかなり温度差がある。インストールに関するネガティブな要素はひとつもない。
基本的にOSのインストールには、ダウンロードの時間も含めて、時間がかかる。1時間以上は、軽くかかると覚悟しておく必要がある。当然、その間はアップグレードしているパソコンは使えない。無事、インストールが成功したとしても、すべてのアプリ−ケーションが今まで通り動くとは限らない。
ではそこまでして、なぜアップグレードしなければならないのか?それは、スピードが早くなったり、起動が早くなるのからではない。セキュリティ機能を向上させるためだ。
そして、Windows7のサポート終了は、最終的には2020年1月14日だ。しかしながら、Windows7のメインのサポート機能はすでに、2015年1月13日であり。すでに、一年半以上も前に終わっているからサポートに期待してはいけない。
https://www.microsoft.com/ja-jp/windows/lifecycle/eos/consumer/
ここまでして望まれないアップグレードを行う理由
Windows10の無償アップグレード期間は今月の2016年7月29日(金)まで
それ以降は、Microsoft Storeによると…
Windows 10 Homeが19,008円、Windows 10 Proが27,864円 となっている。
https://www.microsoftstore.com/store/msjp/ja_JP/cat/Windows/categoryID.70038700?icid=CNavWindows
かつてのPC市場は、最新OSに期待を寄せ、CPUがアップグレードし、OSがアップグレードし、ソフトウェアもアップグレードして、買い換えるサイクルが2年単位でスイッチしていた。そう、現在のスマートフォンのサイクルと同様だ。しかし、PCの成熟度が高まると、Officeがサクサク動き、ネットのブラウズさえできれば問題がなくなってきた。さすがにWindowsXPは見かけなくなってきたが、ネット接続されていない分野ではまだ活躍している。Microsoftは、過去にWindows98の後継としてWindows Me、WindowsXPの後継としてWindows Vista、Windows8を出荷してきているが、OS市場においては、アップグレードにことごとく苦労してきている。
そう、一般のユーザーは、OSに対して機能を求めていなくなったからだ。ただ、セキュリティ面で不安だからアップグレードするというユーザーも多いだろう。Google のAndroidによるスマートフォンOS無償OEM、Appleが実質無料でOSのアップグレードを繰り返している中、Microsoftも、Officeが定額サブスクリプションモデル「365」を採用するなどソフトウェア市場が大きく変革してきている。
Microsoft自身が、Surfaceというデバイスシリーズで新OSをアピールし「これさえあれば何もいらない」と言えば言うほど、ノートPCという市場がシュリンクしつつある。実は、「XPと7でセキュリティさえ問題なければ何もいらない」と行っても過言ではないのだ(笑)。本来Windowsユーザーは、タブレットやペン入力は、それほど欲していなかった。選択肢の多い、企業の都合で選べるハードウェア群がありそこに競争が働き導入メリットがあった。CPUパワーや最新OSが必要とされるようなVRやAIなども企業や仕事では一部の先進的なユーザーだけにニーズが偏っている。むしろ、逆にXboxなどのゲームマシンを高機能化し高級化したほうが市場の成長は早いだろう。そういった意味でも、OSのアップグレード戦略は、顧客を急かせば急かすほど、ユーザーは、抵抗するばかりなのだ。期日を締め切れば締め切るほど、ユーザーは離脱していくばかりだ。
そう、今度一度、Microsoftには、「北風と太陽」のイソップ童話を読み聞かせてあげたいと思った…。