高潮被害でクルマが炎上します。クルマは高台へ避難を
台風10号による高潮の被害が心配されています。
2018年、関西で高潮・高波被害をもたらした台風21号では、車両火災が起こったことをご存知でしょうか?
クルマが海水に浸かると、エンジンをかけてないクルマでも炎上
高潮は海水です。クルマが海水に浸かると、エンジンをかけていないクルマの車室内でもトラッキング現象が発生したのです。
トラッキング現象は、埃のたまったコンセントで起こることが知られています。
埃や水があると、コンセントの2つの金属の間に電気が通ってしまい、それが、火花放電を繰り返すことで、コンセントの絶縁樹脂の表面が炭化します。それが炭化伝導路となってしまって、発火してしまうのです。
そして、海水は水よりも電気を通しやすいのです。
被災地である神戸市消防局が、車両のコネクタに12Vの電圧をかけ、水道水、雨水、海水にひたして反応に違いがあるか比較実験をした動画があります。
海水で発火する様子がわかります。
また、目安としてタイヤの半分が浸水すれば、車室内の多くの配線が浸水して危険な状態となることがわかっています。実際に神戸では、駐車場所から10キロ以上離れて走行中に出火したり、2週間後に突如燃え上がったという報道がありました。
2004年の高松の高潮でも車両火災と電車火災が起こっている
車両火災は、2004年の高松でも起こっています。この時、電車の火災もありました。写真の電車は、火災の後に撮影されたものです。右側に見える高松城のお堀の海水が高潮で潮位があがったことにより、線路内に海水が入り込みました。その時に、ベンチも線路に落ちています。この電車が夜、最終電車として入ってきた時に海水につかってしまったため、電気が通ってしまい、電気系統のある車両中央部から一気に屋根まで炎があがったとのことです。1ケ月後に電車が牽引され撤去された後には、ホーム壁面には焦げ跡が残るほどでした。
これらの写真をくださった国立研究開発法人防災科学技術研究所災害過程研究部門客員研究員 花崎哲司氏は、車両火災が起こる瞬間を目撃されています。
停電で暗くなった夜の駐車場で、誰も乗っていない浸水しているクルマの車内から突如、火の玉のような灯りが見えたそうです。そして、何事かと思う間もなく、クルマは黒い煙に覆われ、車内が火の海となったとのことです。
車両火災の被害にあわないために
神戸では、車両火災が起きたクルマから他のクルマが延焼しています。そこから、火事が広がることも懸念されます。
そのため神戸市役所では、高潮の際、あらかじめ高台に避難させるなどの対策をとることを勧めています。
浸水・冠水被害を受けた車両のユーザーの方は
浸水・冠水被害を受けてしまった場合について、国土交通省が以下のように記載しています。
海水に浸水すると金属の腐食も進む
高潮で浸水すると、海水の塩分により、金属部分の腐食が急速に進んでしまい、そのまま廃車となるケースも少なくありません。高潮での海水浸水のリスクは高くなりますので、クルマは早めに高台に避難していただければと思います。