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メーガン妃とハリー王子の“偽ロイヤルツアー”には、銀行詐欺で指名手配中の人物が絡んでいた

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
メーガン妃が着ているのは「ウィンザー」という名のドレス(写真:ロイター/アフロ)

 あたかも英国王室要人の公式なロイヤルツアーであるかのようにナイジェリアを訪問しているメーガン妃とハリー王子に、新たな批判材料が浮上した。夫妻にナイジェリア国内を回る飛行機を提供し、ラゴスに降り立った夫妻を迎え入れたエア・ピースの創業者でCEOのアレン・オニェマは、2,000万ドル規模の銀行詐欺と資金洗浄の容疑でアメリカから起訴されている人物だったのである。

 オニェマは2010年からたびたびアトランタを訪れるようになり、複数の銀行口座を開設。2019年に起訴されると、アメリカ国外に逃亡した。本人は、無実を主張している。水原一平容疑者の件でも知られるようになったばかりだが、銀行詐欺は、重大な罪だ。

 メーガン妃とハリー王子が彼の容疑について知っていたのかどうかはわからない。いずれにしても、詐欺で得たお金が絡んでいると思われる飛行機に、タダだからと喜んで乗るという行動は、立派な目的を掲げる慈善団体の主宰者として、到底ふさわしいと言えないだろう。

 そもそもそんなオファーをもらえるのも、彼らが英国王室を離脱したにもかかわらず、まだそのイメージを売りにしているからだ。実際、夫妻は、このナイジェリアの旅で、学校や慈善団体を訪問したり、軍関係者と会談したりするなど、王室の要人がするようなことをそのままやっている。しかも、メーガン妃は、このツアーで、あえて「ウィンザー」という名前のドレスを選んで着ているのだ。自らの選択で捨てたはずの肩書きにしがみついていることや、背中を大きく露出したそのドレスが保守的な国で学校を訪問するのにまるで場違いなことは、ソーシャルメディアで散々揶揄されている。

ハリウッドでの成功に必要な王室イメージをアピール

 報道によれば、夫妻がこの“偽ロイヤルツアー”を行っていることに、チャールズ国王はこれまでにないほど激怒しているという。それもそうだろう。本物のロイヤルツアーの目的が外交であるのに対し、メーガン妃とハリー王子の目的が自分たちの宣伝であることは見え見えだからだ。

 夫妻は最近、それぞれに、Netflixで新しいドキュメンタリーシリーズの製作に入ったところ。メーガン妃のプロジェクトは、料理、ガーデニング、ホームパーティ、友情などをテーマにしたものということで、夫妻の自宅ではなく、ご近所の豪邸で撮影を行っている。彼女はまた、アメリカン・リヴィエラ・オーチャードという、テーブルウェア、キッチンアイテム、ジャム、料理本などを扱うブランドを立ち上げたところで、それらの商品はこのドキュメンタリーシリーズに登場するものと憶測される。一方、ハリー王子は、彼が愛するスポーツ、ポロについてのシリーズを製作する。

 これらのシリーズの配信開始がいつになるのかは不明ながら、その時まで、世界中から愛されるプリンスとプリンセスのブランドイメージを保っておくことは、夫妻にとって重要。でなければ、専門家でもない人が料理やガーデニングについて語るのを、誰が聞きたいだろうか。

 だが、何か動くたびに新たにネガティブなことが出てくるのがこの夫妻だ。注目を集めるのに成功したこのツアーでも、指名手配中の人物とつながるというヘマをやってしまった。これではまたアニメのパロディにされるネタをわざわざ提供したようなものだ。メーガン妃と夫妻のプロダクション会社はハリウッドの大手ウィリアム・モリス・エンデヴァーと契約し、さらに最近は新たな広報担当者を雇ったが、彼らに相談はしなかったのか。とにかく、このツアーがNetflixでの新しいシリーズになんらかの形でプラスになるのか、見守りたい。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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