「エチルエーテルで意識を失わせて強盗」はデマ。2010年に韓国で流行った都市伝説
「路上で乾燥海産物に含ませたエチルエーテルを吸わせ、意識を失わせてお金や臓器を奪う新しい犯罪が中国からやってきている」という話が、LINEやTwitterなどを中心に出回っています。
しかし、これは韓国で2010年に出回った都市伝説、つまりデマです。
에틸에테르 범죄 - 위키백과, 우리 모두의 백과사전(2010年に出回った「エチルエーテル犯罪の都市伝説」について書かれた韓国のWikipediaの記事)
エチルエーテルを吸ってもすぐに意識は失わない
そもそも、エチルエーテル(ジエチルエーテル)を吸ってもすぐには意識を失いません。
エチルエーテルには麻酔作用があるものの、吸入麻酔薬のなかでは導入(麻酔にかかるまで)がかなり遅いため、現在はマウスなどの小型動物の実験にしか使われていません。
また、エチルエーテルは引火性がかなり高く、マイナス45度で引火します。私は危険物取扱者の資格を所有していますが、エチルエーテルを日光にあてると爆発性の過酸化物も生成されるためメールのとおりなら路上でこの犯罪を実行する人が一番危険です。
だいたい「嗅いだだけで意識を失う」のであれば、他人に乾燥海産物を味見させる暇もなく犯人は意識を失い続けるのではないでしょうか。
沖縄県警「このような事案が発生したという情報はありません」
国内ではこの件について、沖縄県警が防犯のための情報配信サービス『安心ゆいメール』にて否定する内容のメールを発信しています。
沖縄県警に確認を取ったところ、「メールの内容についてはそのとおりです」との確認も取れました。
一見すると「危ない! 教えてあげないと!」と思い、ついRTしてしまう内容ですが、7年前に韓国で出回ったデマですので拡散するのはやめましょう。許可を取って海産物を路上販売されている方に迷惑をかけることになります。