小室哲哉と坂本美雨による、奇跡の“TKソング”プレミアム・ライブ!
“TKソング”が時代をこえていく、タイムレスな魅力を浮き彫りにした一夜
9月24日(水)、小室哲哉 featuring 坂本美雨によるプレミアムなライブが行われた。
会場となった六本木ミッドタウン内にあるライブスペース『Billboard Live TOKYO』には、2回公演で全国よりたくさんのファンが集まった。ライブテーマは、ずばり「坂本美雨“TKソング”を大いに歌う」。7歳の頃から小室のファンだった美雨は、キーボードプレイヤーとして接点のあった父親、坂本龍一を通じて小室と交流を深め、2011年に自身のアルバム作品『HATSUKOI』に収録された「True Voice」で小室に作曲を依頼。1991年にリリースされた、ミュージカル『マドモアゼル・モーツァルト』主題歌である、小室ソロ楽曲「永遠と名づけてデイドリーム」をカヴァーされている関係性だ。
globe「DEPARTURES」(1996年)〜globe「Can't Stop Fallin' in Love」(1996年)〜渡辺美里「悲しいね」(1987年)〜宮沢りえ「My Kick Heart」(1993年)〜華原朋美「LOVE BRACE」(1996年)
ライブは小室と、TKヒット・チューンのギターを担当してきた松尾和博がステージに登場し、globe「DEPARTURES」(1996年)のピアノソロを奏で、途中から美雨が参加し「Can't Stop Fallin' in Love」(1996年)を歌うことで、プレミアムな期待感がさらに高まっていく。
続いて、一般的な王道選曲でいくかと思いきや、まさかの渡辺美里に提供した名曲「悲しいね」(1987年)を披露。さらに、宮沢りえのシングル・カップリング曲というマニアックながらも、ファンの間で評判の高い「My Kick Heart」(1993年)をプレイ。オーディエンスからの拍手にも熱が入っているのがわかる。美雨が、アコースティックなサウンドにのせて歌うことで、TKソングのメロディのたおやかさ、美しさとせつなさがより際立ち、心にすっとサウンドが入ってくる。
大人な雰囲気な会場に鳴り響いたイントロは華原朋美の「LOVE BRACE」(1996年)。美雨が歌うと、よりせつなさでいっぱいの壮大なメロディーが浮き彫りに。打ち込みのイメージの強い“TKソング”の、アンプラグドな可能性を広げてくれる絶妙なるセレクトだ。
美雨は小室へのリスペクトを込めてファンへ向けて「全曲知ってるでしょ? みんなの心の歌が、叫びが聴こえるから(苦笑)。小室さんのことはTM NETWORKやソロのプロデュース・ワークはもちろん、小さな頃から大好きで。(わたしは)10歳からニューヨークに行ってたんですけど、ネットが無い時代でしたけど、(日本の本が高い)紀伊國屋とかで『PATiPATi』や『WHAT's IN?』を買って、がんばって情報収集して(TM NETWORKの)ファンをやってました。」と、ファンと同じ目線であることを語った。
小室は「ぼくの曲はキーが高いんですけど、美雨ちゃんはなんなく声がでるから」と評価したことについては、美雨は謙遜しながらも「小室さんがプロデュースしてきた女性アーティストの方々は声が独特で。(第一声で)すぐに誰かわかるんですよね」と、的確な分析をしていたのも興味深い。
ベッド・ミドラー「ローズ」(1979年)〜小室哲哉「永遠と名づけてデイドリーム」(1991年)〜坂本美雨「in aquascape」(1999年)〜TM NETWORK「SEVEN DAYS WAR」(1988年)
後半は、小室と美雨が、2013年にテレビ番組『芸能人最強アカペラ王者決定戦 ハモネプ★スターリーグ』にチームを組んで出演した際、決勝に進出したら披露しようとしていた、ベッド・ミドラーの名曲「ローズ」(1979年)を、小室による日本語詞ヴァージョンで熱唱。続いて、小室ソロ曲であり、脚本家坂元裕二が作詞された「永遠と名づけてデイドリーム」(1991年)へと続いていく。
MCで小室は「教授の娘さんが(苦笑)。どうもぼくの音楽を気に入ってくれてるらしいよと噂で聞いて、最初は恐縮してたよね……。教授も複雑だったろうね(苦笑)。でも、娘さんが好きだったら『しょうがないな〜』って感じですよね(苦笑)。その後は、(教授とのやりとりが)やりやすくなりました。美雨ちゃんに御礼言わないとね(笑)」とユーモアたっぷりに語っている。
リスペクトする坂本龍一に関する話をMCで挟みながら、坂本龍一プロデュースによる坂本美雨の楽曲「in aquascape」(1999年)をプレイ。小室はこの楽曲を「音楽的に素晴らしい曲。ピアノのコードを弾かなくても、指1本と歌だけで和音が、音楽が成り立つ」と音楽理論的に評価していた。
この曲でラストとなり、美雨とギターの松尾がステージから去り、小室による流麗な指さばきによるピアノソロへ。そして「もう1曲歌ってもらいましょう」と、二人を呼び入れ、TM NETWORKの代表曲「SEVEN DAYS WAR」(1988年)を奏で、観客を巻き込み大団円へ。
あまりの感動に、このスタイルで毎週でもやって欲しい……、そう願ったファンは多かったのではないだろうか。
『小室哲哉 featuring 坂本美雨』というプレミアムなライブ。小室哲哉の理解者でありファンである、アーティスト坂本美雨による“小室哲哉曲における評論”とでもいうべき、 “TKソング”が時代をこえていくタイムレスな魅力を浮き彫りにした一夜だった。なお、10月4日(土)には、大阪の『Billboard Live OSAKA』でも2公演開催されるので、ぜひこの奇跡の共演を見逃さないで欲しい。
<告知>
10月4日(土)『小室哲哉 featuring 坂本美雨』