ライダーにとって大敵な梅雨 安全に走るための工夫とは!?
毎年やってくる梅雨の季節。ジメジメとした蒸し暑い日々はただでさえ不快ですが、ことさらバイク乗りにとって憂鬱なのは雨でしょう。
今年の梅雨は7月下旬にかけて前線が活発化し全国的に雨量が多くなる見込みだとか。局地的に大雨になる予想も出ていますので、ツーリング計画を立てる場合も現地の長期予報をしっかり確認しておくことをおすすめします。
落雷と豪雨、どうするか?
そこで、今回は大雨でのライディングの注意点などをお伝えできたらと。
梅雨時でも雷をともなった集中豪雨に見舞われることがあり、梅雨の後半、特に西日本で多く発生するようです。自分も以前、山中のワインディングを走っているときに、雷とともにバケツを引っくり返したような豪雨に見舞われたことがありました。
白い閃光とともに火柱が近くに落ちてきて、たちまち道路は川のようになり、路面には池ができて身動きが取れない状態になってしまいました。とりあえず、近くにあった東屋に逃げて雷をやり過ごしましたが、本来ならば落雷しても大丈夫な頑丈な建物の中に避難すべきです。クルマの中も雷がアースされるので比較的安全だとか。逆に大きな木の下で雨宿りするのは雷に直撃される危険が大きいそうです。また、雷は高い場所に落ちてくるため、尾根沿いの道をそのまま走り続けるのもNGです。
10cm以上の水深ではまともに走れない
道路が水没しているような場合も注意が必要です。まず深さが分からないですし、道幅も分かりづらく側溝などに落ちる危険があります。どうしても迂回できない場合は、自分だったら一度歩いて渡ってみます。それと経験上、10cm程度の水深でも車体を傾けてコーナリングすることは難しいです。水の抵抗は想像以上で、速度が上がるほど前輪が強い抵抗を受けて切れ込んだり、浮き上がったりしてバランスを崩して転倒してしまうでしょう。
もしも、そういう場面に出くわしたら、車体をなるべく立ててゆっくりと進むしかありません。また、それだけ降ったということは土砂崩れの危険もあるので、山道だったら速やかにルートを変更すべきでしょう。
雨天では「急」な操作をしない
極端な話をしてしまいましたが、普通の雨天でも使える走り方のコツがあります。
ひとつは「急」な動作・操作を避けること。雨天では当然路面は滑りやすくなります。そこで急加速、急ブレーキ、急な倒し込みをしてしまうと、タイヤはグリップを失いやすくなります。
逆に雨天でも「じんわり」と丁寧な動作・操作をしてやることで、けっこう強くブレーキもかけられるし、思ったより深くバンクさせても大丈夫なものです。たとえば、消しゴム(タイヤ)を机(路面)に押し当ててじっくり動かすのと、叩くように当てるのではどちらが滑りやすいか、想像しただけでも分かりますよね。
「バンク角」を決めて走る
もうひとつは、バンク角を一定以上に深めないことです。ドライであれば、現代のタイヤならハイグリップでもツーリングタイプでもタイヤの端まで問題なく使えてしまいます。ただ、ウェットではタイヤがどんなに進化しても同じようには走れません。
かつて雨天では「溝が切ってある範囲で走れ」と言われました。つまり排水性を高めるためのグルーブが刻まれた部分までが安全圏だったわけです。今のタイヤはコンパウンドの改良やタイヤ自体の構造の進化などにより、状況によってはウェットでも溝がないスリック部分まで普通に使えるようになってきています。とはいえ、慣れてくると人間、ついつい油断してしまうもの。調子に乗ってスッテーン、とならないためにも、雨天用のバンク角を自分で決めて走るのが安全・確実です。
梅雨は誰もが嫌なものですが、ライダーとしての経験を深めるには良い機会にもなるはずです。今は雨支度をしっかり固めて、梅雨明けを待ちましょう!
※原文より筆者自身が加筆修正しています。