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台湾沖をロシア艦船が航行。接続水域まで接近か?

宮崎紀秀ジャーナリスト
有事に備え訓練する台湾軍(台湾新北市2023年3月23日)(写真:ロイター/アフロ)

 台湾をめぐって中国の軍用機が連日、台湾との中間線を超え台湾側に侵入するなど緊張が高まるが、今度はロシアの艦船2隻が台湾沖に現れた。しかも台湾が定める接続水域近くまで接近したとみられる。

 台湾国防部の27日発表によれば、同日、ロシアの護衛艦2隻が台湾沖を航行したという。護衛艦2隻は、台湾の東部海域を南から北へ航行し、台湾北東部に位置する宜蘭県蘇澳の沖から南東方向へ離れていったという。

 国防部は、監視偵察手段を利用して、ロシア艦の動向の全過程を把握していたという。

 国防部の発表は夜だったが、台湾の新聞「自由時報」が漁民の目撃情報として報じた内容では、ロシア艦船が航行したのは同日午後。しかもロシア艦船2隻は、宜蘭県沖の26海里付近を航行していたという。また、そのロシア艦船に対しては、日本の海上自衛隊の補給艦が追跡、監視を続けていたともいう。

 台湾は陸地から12海里までを領海、24海里までを接続水域と設定している。同紙によれば、ロシアの艦船が台湾東部を航行し、さらに24海里の接続水域付近まで接近することはまれという。

 ロシア艦船の目的や中国軍との関係は不明だが、台湾海峡では中国軍による挑発的な行為が続いている。3日前の24日には、中国の戦闘機も台湾の接続水域まで接近する“大胆さ”を見せている。台湾国防部の発表によれば、24日に中国の戦闘機「殲10」「殲16」など合計19機の航空機の動向があり、うち8機が中国との中間線を超え、さらに24海里の接続水域付近まで接近したという。

 中国軍機が台湾との中間線を超えることはすでに常態化しており、その後も中間線超えは続いているが、接続水域まで近づいたのはまれ。「自由時報」は、退役将校の話として「中国は台湾海峡の空域での突破口を探っており、いずれ(領海である)12海里まで迫ってくるだろう」と、警戒感の高まりを伝えている。

ジャーナリスト

日本テレビ入社後、報道局社会部、調査報道班を経て中国総局長。毒入り冷凍餃子事件、北京五輪などを取材。2010年フリーになり、その後も中国社会の問題や共産党体制の歪みなどをルポ。中国での取材歴は10年以上、映像作品をNNN系列「真相報道バンキシャ!」他で発表。寄稿は「東洋経済オンライン」「月刊Hanada」他。2023年より台湾をベースに。著書に「習近平vs.中国人」(新潮新書)他。調査報道NPO「インファクト」編集委員。

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