東京マラソンの応援前日は、サンウルブズ初戦。山田章仁、苦言の反響へ一言【ラグビー旬な一問一答】
昨秋のワールドカップイングランド大会で日本代表だった山田章仁は、2月27日、東京・秩父宮ラグビー場で国際リーグであるスーパーラグビーの開幕節に先発フル出場した。
身体をくねらせたり足踏みのリズムを変えたりし、相手をかわす。彼我の陣形を見定めての絶妙な位置取りから、スペースを射抜く。そんな長所を持つ身長182センチ、体重88キロの30歳は、日本から初参戦するサンウルブズの右ウイングとしてライオンズと対戦。昨季はウェスタン・フォースの一員としてスーパーラグビーに挑んでいたが、この舞台での公式戦出場は今回が初だった。
13―26と敗戦も、チームは攻守でまとまりを示した。山田は複数の見せ場を作ったが、自己採点は「50点」と控えめ。もっとも「お客さんは非日常を求めている」と、試合前日に続いてグラウンド外での運営に関し提言を残した。翌日は東京マラソンで妻・ローラさんに声援を送っていた。
以下、27日の試合後の共同取材時の一問一答(一部。やや編集)。
――(当方質問)自分のプレー、いかがでしたか。
「きょうは50点ぐらいでしたね。トライも取れませんでしたし。シーズンは長いので結果を出していきたいですね」
――(当方質問)前半16分頃、グラウンド中盤からインゴール付近まで届くロングキックを追いかけます。相手が処理を誤ってこぼれた球に、どうにか追いつきましたが…。トライはならず。
「最後の相手(カバーに入った最後列の選手)に追いつくことは難しいと思ってましたが、ボールがこちらの手前に弾めばチャンスがあると思っていた。そう思って追いかけていましたよね」
――(当方質問)続く18分頃、自陣22メートル線付近右でタックル。相手が倒れたところへサンウルブズのサポートが集まり、ターンオーバーをしかけました。しかし、反則を取られた。
「(反則の種類は)わからなかったです。(全体を通し)ターンオーバーできるところは何個かあった」
――(当方質問)後半には、密集の近くで球をもらってフォワードの選手のむれをかきわけようとしたプレーがありました。実は、前日にそうしたプレーをしたいと言っていた。
「たくさんボールをもらいたいと思っていた。ボールを持って走れたということは、よかったですよね」
――(当方質問)守備のまとまりについて。
「皆がコミュニケーションを取っていけば問題なく止められる。それがきょう、わかったと思う。自信にしていきたい」
――(当方質問)失点は、単発でのプレーのみ。組織は崩されなかった。
「そうですね。まぁ、世界中、どの選手もアタックが好き。アタックをさせ続けると怖い。逆に僕らがアタックをして、ディフェンスをする時間を少なくするのがベストかなと思います」
――(当方質問)その、アタックについて。
「もうちょっとですね。外側からもっとオプションを伝えないといけないなと思いました」
――(当方質問)チーム史上初トライが決まった、後半18分の連続攻撃について。左右に球を振った後、縦突破を重ねていました。フッカーの堀江翔太キャプテンが止めを刺しました。
「しっかり我慢して連続攻撃をして、タイミングをよく…。ああいうプレーをスーパーラグビーでしていきたいと思っていた。あとはオブストラクション(ボールを持たない選手がプレーを妨害する反則)が取られましたけど、ハルが抜けたシーン…(前半22分頃、センターの立川理道が守備網の背後を抜け出した)。ああいうものにも、ネガティブにならずにいきたい。せめぎ合いをしていかないと、スーパーラグビーでは勝っていけない」
――(当方質問)いまのスタイルを保ったまま、得点力を上げるには。
「あまり取り急がず、しっかりフェーズを重ねていく、かな、と思いますね」
――前日は、芝の生え方がまばらなグラウンド状態に異を唱えていました。
「グラウンドもそうですけど、お客さんは日常ではないものを求めている。スタンドの感じ、食べ物もそうですが、もっとエンターテイメントにあふれてくると、皆、2回、3回と観に来てくれるようになる」
――(当方質問)その談話、非常に反響を呼びました。
「ファンの皆さんを一番、大切にしたいので。さっきも言いましたけど、お客さんは会場に非日常を求めに来る。スタンド、芝生、全体の雰囲気がもっとよくなれば、スーパーラグビー全体を引っ張る存在になっていける。日本には、ポテンシャルがありますから」