敬老の日にシニア犬への食事を見直してはいかが? 長生きのための「手作り食」
今日は敬老の日です。人間だけじゃなく愛するペットにも長生きしてもらうには、「食べ物」が非常に重要になってきます。食べたものでカラダができているので、今日はシニア犬の食事について獣医師の視点から解説します。
私の治療の特徴は、食事療法と、がんの免疫誘導です。17歳のミニチュアダックスフンドのラッキーと暮らしていて、今日はこの子の食事についてお話しします。
https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_201612_1.pdf
グラフにあるように、犬の寿命の平均は、13.7歳(2014年)です。
このグラフからもわかるように、ラッキーは長寿です。獣医師の犬なので、当然かもしれませんが(健康のためにいろいろとしています)ひとつ言えることは、食事を手作りにしていることです。動物病院の中では、手作り食がNG のところが多く、絶対に処方食というところがほとんどです。総合栄養食であるドッグフードと水でいいという時代は、「もう終わった」と個人的には考えています。
何故手作り食か?
14歳ぐらいまでは、ラッキーも動物病院にある処方食を食べていました。ところが、40度以上の熱を出してから、食べなくなったのです。そこでシニアの犬に合うドッグフードがなかなかないため、手作り食にすることにしました。また、ドッグフードは長い間、部屋の片隅に落ちていてもカビが生えません。なぜならドッグフードには防腐剤が入っているからです。これもやめた理由のひとつでもあります。
ラッキーは慢性肝臓病、心臓病(僧房弁閉鎖不全症)を患っています。理想は持病がなく、元気で長生きすることなのですが、現実的には、難しいです。
どんな手作り食か
(材料)
・イワシの水煮(イワシ1匹)(DHAやEPAが豊富で、ミネラルも豊富)
・納豆(半カップ)(発酵食品で最近の研究の結果脳炎に効果がある)
・プチトマト(1個)(リコピンがあり、抗炎症作用)
・サツマイモ(半分)(カリウムと繊維質が豊富)
・ニンジン(3分の1)(ベータカロチンがあり、犬はそれからビタミンAに変換できる。)
(錠剤は、サプリメントや薬)
注意:ラッキーは噛んで食べるのですが、噛まない子は、喉に詰まらせる危険があるので、ハンドミキサーで砕いてあげてくださいね。
手作り食の問題点
・犬は与えてはいけない食材(タマネギ、ネギ、ブドウ、イチジクなど)があるので、事前に調べてください。
・カロリーは大丈夫か?
・栄養のバランスは大丈夫か?
・不足している栄養素はないか?
手作りするときは
・動物病院で血液検査(電解質、トータルプロテイン、アルブミン、ヘマトクットなど)を定期的にしてもらう。
・自己流にしないで、かかりつけ医と相談をする。
・体重を毎日、測定(上下をチェック)
・ウンチの状態を確認
・オシッコの量を確認
手作りの裏技
・いま食べているフードから、手作り食に少しずつ移行していき、将来的に全部、手作り食にする。
・食品を全部入れる、ホールフードで。魚なら頭、目玉、内臓、骨も全部入れる。
(ホールフードとは、まるごとの食べ物という意味。野菜であれば、皮や種、葉っぱ、根っこまで、魚であれば、頭から尻尾まで。)
・何故ホールフードがよいか。
血液の中にはナトリウムなどが入っているので、血の成分も大切です。そして骨にはカルシウムが入っています。魚を丸ごとあげることで、あらゆる栄養素を摂取することができ、たくさんのサプリメントなどを飲まなくてもすみます。飼い主さんの中には、魚の切り身だけを与える方もいますが、これだと魚の筋肉だけしかあげていないことになり、栄養が偏りますので注意しましょう。こんな場合は、電解質のナトリウム不足になったりします。
まとめ
動物の栄養学の勉強をして、犬に手作り食を与えるのもひとつの方法だとわかりました。決して、自己流ではなく、血液検査のデーターを元に、獣医師と話し合いながらやってくださいね。(災害などの場合に備えて、ドッグフードも常備はしています。)
ラッキーは17歳ですが、今も自分で食べて自分の足で走っています。飼い主に科学的に正しい知識を持っていただくことで、こんな元気な17歳の犬になれるのです。