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還暦を超えて輝く、「浅香あき恵」という生き方

中西正男芸能記者
還暦を超えて、輝きを増す浅香あき恵

 ポップな言葉と写真で綴るブログ「あき恵ちゃんのチョベリグ日記」が、吉本興業のブログランキングでトップクラスのアクセス数を誇る吉本新喜劇の浅香あき恵さん(61)。ABCテレビ「なるみ・岡村の過ぎるTV」から生まれた映画「ありえなさ過ぎる女~被告人よしえ~」(4月7日からシネ・リーブル池袋、大阪ステーションシティシネマほかで順次公開)にも主演。還暦を超えて、さらに輝きを増す自身の生き方について語りました。

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新喜劇退団、そして、漫才

 正直な話、還暦も過ぎて、そのうえで今回みたいな主演映画のお話をいただける。本当にありがたいことだと思います。新喜劇に入って40年以上。これまでも、いろいろな節目がありましたけど、やっぱり分岐点になったのは、今から30年ほど前にあった「新喜劇やめよっカナ!?キャンペーン」だと思います。いわば新喜劇の大改革で、大幅にメンバーも入れ替わったし、実際、私も新喜劇を辞めることになった。

 その結果、島田一の介兄さんと漫才もやらせてもらいました。自分としたら、漫才をやるなんて思いもよらない展開だった。でも、そこで、いったん新喜劇を出たからこそ、そして、漫才がうまくいかなかったからこそ、これは本当に正直な話、誰かに頼るという考えも初めて出てきたんです。だからこそ、結婚もしたし、娘も授かった。今では娘なしの生活は考えられないですし、漫才を1年半ほどやって再び新喜劇に戻ってきて、今、日々、新喜劇が以前よりも楽しく、そして、より一層、感謝の思いを持ちながらできている。人生、何がどうなるのか。本当に分からないものだと痛感しています。

映画初主演

 今回の映画、撮影は昨年3月にやっていたんですけど、初めての主演ですからね。やっぱり刺激的でした。最初、主演というお話を聞いた時は、完全に信じていないというか、どこで「はい、ドッキリでした!」というのが出てくるんやろうなと(笑)。衣装部屋に行って衣装を見せてもらっていても、どこかで「ウソやなのに、えらい、念入りやなぁ」と思ってましたしね。衣装さんからしたら「リアクション薄い人やなぁ」と思われていたかもしれませんけど(笑)、それくらい、まさかのお話だったんです。

 やっとドッキリじゃないことが分かって、撮影に入ると「これが主演ということなのか…」と思いました。まず、私が楽屋から移動する時に「あき恵さん、通られます!」とスタッフさんが人をかき分けて先導してくださるんです。「うわ、柴咲コウさんとかがやられるヤツや…」と(笑)。あと、共演者の方にあいさつに行こうとすると、向こうからこちらの楽屋に来てくださったり。慣れないものだから、いちいち、感動してました。

 あと、映画というものへの驚きもありました。初日、いきなりクライマックス的な裁判シーンから撮影だったんです。そこで、弁護士役の光宗薫ちゃんがとんでもない長ゼリフ、しかも裁判やから難しい言葉も多いのに、そこを台本どおり一字一句そのまましゃべってるんです。横で見ていて、私からしたら、ウソやろと(笑)

 新喜劇では、セリフはなんとな~くのニュアンスで進行していくので、大きな意味が通っていればそれで成立もするんです。でも、映画ではそこを正確に言うことを求められる。…ま、そら、当たり前なんですけど(笑)、あまりにも普段から新喜劇の感覚にどっぷりと浸っているので、これは大変だ!となりましたね。

 ただね、今の新喜劇、本当にすごいです。クオリティーがグングン高くなってきて、私たちが最初に覚えた新喜劇とは全然違います。みんながパズルのピースのようにどんどんはまっていかないと成り立たない。逆に、それだけ色とりどりのピースがそろっているということでもあるし、この歳になっても自分がそこのピースの一つに選んでもらえるならば、それはとてもありがたいことだと思います。

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ブログが話題に

 あと、今、皆さんに声をかけていただくのがブログ。最初はどんなものかも分からないまま始めたんですけど、世界中どこからでも見られるということを聞いて、それやったら、見ていて気持ちのいいもの以外は載せたくないなと。その思いでやってきたんです。そうしているうちにランキング的なことが上がってきて「これだけ見てもらってるんだったら、休みの日でも家でゴロ寝してたら、何にも書くことないしな」と思って、外に出たり、気になっているものを食べに行ったり。ブログに生活を引っ張ってもらうというか、今はそんな感じになっています。

 私も60代やし、今でも飛行機を見ても「なんで飛ぶんや…」という思いもありますけど、今の時代に生を受けている以上、ブログとかがあるんだったら、使わないともったいない。本当にインターネットの類(たぐい)はありがたいなと。タグイって、こんなところに歳が出てますかね(笑)

 60歳を超えてから、主演映画もさせてもらい、ブログで新しい世界も広がり…。もちろん、いいことばかりのはずはないです。ただ、これから先に何があるんだろうとワクワクする気持ちは強いです。体は絶対に衰えてはいきますけど、その変化も、楽しめるくらいの気持ちで暮らしていけたらなと今は思っています。

 それとね、60歳の時に海外の貯蓄型保険に入ったんです。今のレートでいけば、70歳になった時に、そこそこ増えているはずなので、そのお金で行ったことのない場所に旅行できたらなと思っています。あ、これは、ものすごく現実的なワクワクですけど(笑)

(撮影・中西正男)

■浅香あき恵(あさか・あきえ)

1956年10月23日生まれ。大分県出身。高校2年で大分から大阪に引っ越しする。本名・佐藤秋恵。76年、吉本新喜劇入団。89年「新喜劇やめよッカナ」キャンペーンの際に一時退団し、同時に退団した新喜劇の島田一の介と漫才コンビ「あき恵・一の介」を結成する。その後、コンビを解散し新喜劇に再入団。もともとはマドンナ役を務めていたが、現在はブサイクキャラで笑いをとることが多い。夫は元新喜劇で現在は漫才コンビ「Wヤング」の佐藤武志。ブログ「あき恵のチョベリグ日記」は、吉本興業のブログランキングで常に上位にランクする人気ブログとなる。初の主演映画「ありえなさ過ぎる女~被告人よしえ~」は、4月7日から全国順次公開。あき恵演じる謎の女・佐野よしえがイケメンを次々とたぶらかし事件を起こすサスペンス。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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