「個人」がIPO気分になれるVALUを試してみた
KNNポール神田@クアラルンプールです
VALUが気になっていたところにわかりやすい記事が登場!
さっそくVALUに登録してみた!
ちょうど、知人の間でVALUが話題に上がっていて、SNSサービスの連携を終えて審査を待っていたところだった。facebookやTwitterやinstagramなどのソーシャルの影響力で初値や時価総額が決まるという。
本日、ようやく上場のお知らせがやってきた…(しかし、ネットサービスで3日も待たされると忘却の彼方ゆきのところだった…)。
よく理解できていないまま、確認すると、初値は150円で5万VA(VALUの株の単位)で時価総額は755万円だった。これが、どの程度なのかはまったく相場感がないのでわからない。そしてしばらく、何をどうすれば良いのかがまったくわからないままだ…。
ビットコインで投資するが、投資される側はビットコインは不要
そうか、上場したんだから、株を売り出し現金化すればよいのだ。IPOの取材はよくやっているが、実際にIPOをしたことがないから、初めて売り出すことになる。5万VAあるので、1/5に値する1万VAで150万円も調達できるのかと思い登録してみたら、初回は5VAからだという。
そしてfacebookやTwitterで上場したことをお知らせし、売り切ったようだ。なんだかうれしいぞ!資金調達できているのだから。
この時点で@150円×5VAで、750円分のビットコインを入手できたようだ。このビットコインを引き出せば現金化できるわけだ。つまり、IPO上場する個人側は、ビットコインをまったく持っていなくても、ビットコインを稼ぐことが可能だったのだ。ビットコインを持っていなくても、ビットコインをマイニング(採掘)せずビットコイン経由でファンドを受けることができる。なので、誰もが個人の時価総額を知りたいというだけでも参画することは可能である。
ビットコインを初めて体験できる機会としてのVALU
しかし、実際の株式相場と違って、配当などが得られるわけでもないのに、なぜビットコインで投資するのか?それは新規IPOのベンチャーが高価にはねる可能性があるからと、初期の段階だと安く投資ができるからだ。
実際にイケダハヤトさんや堀江貴文さんクラスとなると、1VAが10万円を超えているので、普通の株式と同様のつもりでとりくまなくてはならない金額で怖くて手がだせない…。
また、自分のVAを買ってくれた知人がいたら、その知人の値段がそれほど高くなければ、買いたいと思うのが人情でもある。しかし、このVALUはすべて仮想通貨であるビットコインがないと取引できないのだ…。つまりビットコインを取引所で購買し、VALUにビットコインを送金してから初めて取引(プレイ)できるのだ。さっそく、初回の5VAを売り切ったので、1万VAを売り出し、150万円を調達してみることにしてみる。クアラルンプールの高級コンドミニアムの宿泊ポイントを保有株数によって付与する特典としてみた。
あれこれってビットコインによるパチンコシステム?
あれ?これってなんだか、パチンコの貸し玉システムに似ていないか?現金でパチンコの貸し玉(ビットコイン)を買ってきて、パチンコ台(VALU)にチャージし、続々と参画してくる自分の友達が安い時に買っていき、差益を稼ぐ…もしくは、応援(投資)するメリットとしての特典をゲットする。出玉(ビットコイン)は、ビットコイン取引所(景品交換所)で現金に替えてくれる。
VALUのユニークな3つのポイント
VALUには、とてもユニークなところが3つある。一つは、VALUがソーシャルネットワークのレピュテーションをベースにしているクラウドファンディングシステムになっているところ。そして、2つ目に、それらが有料ソーシャル・ネットワーク・サービス網の経済圏を築いたこととも言えるだろう。そして、3つ目には、それらの決済をすべて仮想通貨であるビットコインを介在させているところだ。
この3つのポイントが重なることによって、今まで、金融の代替手段としてのビットコインに興味を持てなかった人も、ソーシャル・ネットワーキングでの利用ポイントとして参入することが考えられる。投資的な意味あいもふんだんにある。また、有料ソーシャルネットワークとなることによって、単なる「いいね!」の承認欲求だけでなく、自分の事業や夢を誰もがアドオンすることができる。そして社会に還元するのか、特典として還元するのか?ある意味、個人をベースとした経済圏のレピュテーションが認知されていくことにもなりそうだ。企業や組織に委ねられない個人としてのヴァリューが、ここでは見え隠れしている。クラウドファンディングの特典だけでなく、株価の差益による投資が見込める。人気がありそうかどうかを見極める株式のデイトレーディング的要素だ。
そして、何よりもパチンコの換金の違法性のクリアや株式における投資法違反などの規制や法律がまったく追いつかないのが「仮想通貨」の一番の特徴である。
仮想通貨は、通貨の価値があっても、通貨ではないのが法律的な見立てだ。いわば、パチンコの景品所で交換される「仮想景品」と同様で違法性を証明できないので、合法の括りとなる。今までの法律的な立て付け以外の方向からサービスが開始されると、問題が起きない限り、止める手立てがない。そう、ITの進化に法律がまったく追いつけないジレンマの時代となるのだ。
ただ、一番の問題は、このサービスが日本発の企業ということだ。これが、世界的な広がりを持って来日してきたような世界で通用するサービスであれば、外圧や黒船効果で日本側の法律がどうであれ関係ない。また、シェアリングエコノミーのように実質的に特定の業界団体の便益を犯すものでもなさそうだ。特定の業界ルールに従う必然性もなさそうだ。単なるクラウドファンディングサービスだからだ。
しかし、最大の問題は、極東アジアの日本の中でのイノベーションであり、単一企業の提供するプラットフォームである。この会社に、システム面やウィルスやセキュリティなど、何か問題が少しでもあれば、日本の法律において、別件で問いただされる危険性は大いに秘めている。twitterのカウンターとしてのマストドンのような、このVALUの動向を、一社が管理しないで、世界的なムーブメントに押し上げることができれば、新たなソーシャル時代のIPOのあり方が見えるのかもしれない。むしろ、Appleや、Google、Amazon、facebook、Microsoftなどに早い時点でバイアウトしてくれたほうがもっと世界的にスケールする気がしてならない。