ありがとう!平昌五輪のインターネットならではのコンテンツ
KNNポール神田です!
平昌オリンピックが閉会し、パラリンピックが始まる。なぜ、パラリンピックの方から先にやらないのかがいつも気になる。パラの閉会をオリンピックの開会にすれば、同時に楽しめるはずなのに…。しかし、今回の五輪は結果として多くの感動を残してくれた。もちろんネットでも、多くの感動を共有できた。そうネットとテレビの相性の良さを実感できるのが五輪だ。同時多発的に集中した都市で情報がかけめぐるからだ。そして普段は視聴できないスポーツもルールを覚えることによってより深く楽しむことができる。
ルールやしくみが理解できるイマーシブコンテンツ
日経新聞の『日本初のメダル 攻めのカーリング』は、スクロールによる「イマーシブコンテンツ」であった。
スクロールしながら記事を読み、斬新な写真のレイアウトを雑誌的に楽しめ、ショットの解説なども楽しめる。
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/pyeongchang2018-curling/
また、カーリングのストーンの視点で360度で眺めることもできる。
NHKの『360度で見よ一糸乱れぬスケーティング!女子団体パシュート』はまさに一緒にパシュートで滑走しているような気持ちにさせてくれた。まさに高木美帆選手の視点が追尾体験できるのだ。
https://www.nhk.or.jp/vr/sports/pursuit/
また、ノルディック複合選手のノルディック複合の日本のエース、渡部暁斗選手の練習シーンも体験することができる。
https://www.nhk.or.jp/vr/sports/jump/
ニュースや番組を360度で「体感」するNHK VR
VRカメラによる実況生放送も東京オリンピックでは、可能となることだろう。かつての東京オリンピックでカラーテレビが普及したように、2020年には最先端のVRやARスマホがそして自動運転によるカメラロボットなどによる未体験映像で驚かせてくれることだろう。
また、今回のフィギュアの6種類のジャンプもTHE PAGEの記事とYouTubeのCGで復習することによってより楽しめた。
テレビの五輪の生中継から検索しながらネットで検索しながらの検索視聴も増える。そう、オリンピックは競技のルールやゲームの追体験ができるようなコンテンツは人気になることだろう。
日本からは権利処理の関係上、視聴できないが、オフィシャル放送局ならではのVR視点もネット経由でNBCが放送している。
平昌五輪の開幕式でもドローン編隊がセレモニーで大活躍していた。今から2年後の東京オリンピックの開幕式では、ドローンだけではなくロボットや、VRやAR、プロジェクションマッピング、さらにIoTや、スマートスピーカー、AIとも連動したような、テレビからの拡張によって展開されることだろう。
2020年、テレビ広告をインターネット広告が追いぬく年
そう、2018年2月22日に電通が発表した『2017年日本の広告費』によると、総広告費は 6兆3,907億円、テレビ広告1兆9478億円、インターネット広告1兆5094億円となった。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2018016-0222.pdf
テレビ広告とネット広告のその差は4384億円。ネット広告は前年比115.2%なんと1年間で1994億円も伸びている。このまま推移すると2020年の東京オリンピックの頃には、テレビ広告費とインターネットが並び、もしくは、追い抜くという新たな広告の時代を迎える。
そこで、データをマスコミ4媒体やプロモーションメディア広告費とジャンルを外して対比させてみた。
インターネット広告がすでに新聞広告の3倍に伸びていることがわかる。ただ、新聞広告は折込広告とセットであるとも考えられる。同時に、インターネットも他媒体とセットに考えることもできるのだ。
こちらの事例は、インターネットにDMをセットにした考え方だ。平昌五輪全体の広告企画が最初からまとまっていたら、今回のようなまとめサイトを作る必要もなくなる。そう、つまり、没入型(イマーシブ)コンテンツがこれだけあっても、埋没型(うずもれた)コンテンツとなってしまっては企画がもったいない。
JOC公認の羽生結弦選手の記念切手にアクセス殺到で「郵便局のネットショップ」がダウンするほどだ。記念パッケージとネットコンテンツでは購買する文脈は違うが、ネットコンテンツと抱き合わせの販売は十分に可能だ。
テレビでも放映され続けた羽生選手のANAの公式CM、しかし、YouTubeでの30秒バージョンの再生回数は10万回、そしてWEB限定の60秒は3.6万回しか再生されていない。若年層を対象としているヒカキンTVは1本あたり100万回再生されている。中身ではなく認知経路と視聴属性へのアピールで、まだまだ工夫できたであろう。
テレビ視聴時の属性とネット視聴時の属性は同じ個人でも、もちろん違う。しかし、広告と報道やデータジャーナリズムなどの企画は、まだまだクリエイティブが発揮できるはずだ。
2014年ソチ五輪の浅田真央選手の『ラストダンス』などは秀逸なデータジャーナリズムであった。もしも、この企画が予約販売されていたら、記念切手と抱き合わせで課金されていたら…どうだっただろうか?
NewYorkTimesの『SnowFall』もよく構成されている
http://www.nytimes.com/projects/2012/snow-fall/#/?part=tunnel-creek
インターネット広告は、ディスプレイ広告から検索連動やリスティングなどの運用型広告からソーシャル広告と多岐にわたって進化している。
2020年、東京オリンピックの年、テレビからの検索流入で、QRコード、ARコード、さらなるネット上での体験、イマーシブやVRなど、新たな未体験な『観戦』を演出することは十分に可能だろう。2020年、テレビ広告を上回るネット広告のパフォーマンスを目前にし、新たなネット広告と既存広告とのシナジーを期待したい。国民的イベントだからこそ、東京オリンピックは、米国のスーパーボウルを超えるような広告企画を打ち出してもらいたい。インターネット広告のクリエイティブも、オリンピアと同様、4年後の広告にどうやって人を感動させるのか?それくらいじっくりと取り組む価値があるかと思う。四半期、来期の目標だけではなく、4年ごとに披露するような広告手法の新スタイルがあってもよいのかと思う。広告テクノロジーの五輪も同時開催してみてはどうだろうか?