布袋寅泰 40th Anniversary EP & Live Film トークセッション・レポート
2021年、アーティスト活動40周年イヤーを迎えた布袋寅泰が6月30日、最新EP『Pegasus』、Live Film『40th ANNIVERSARY Live “Message from Budokan”』をリリースした。最新曲「Pegasus」は、BOØWY時代のナンバーや影のあるUKロックを彷彿とさせるギターリフ、布袋らしさに溢れる楽曲展開が魅力のギターロックチューンだ。
リリースを記念して、HOTEI Official YouTube Channel にて、オンライン・イベント「布袋寅泰 40th Anniversary EP & Live Film リリース記念 スペシャルトークセッション」が、布袋作品にナレーションで参加したことのあるクリス・ペプラー氏をMCに迎えて実施された。
最新EP『Pegasus』に収録したリード曲「Pegasus」について布袋は、
「40周年第一弾リリースなのですが、今、コロナ禍だったり世界情勢など重い空気があるじゃないですか?
そんななか気持ちを上がる曲をと思ったんだけど、やっぱりリアルな現代を描きたかったし。今はダークサイド、いろんな意味合いで。それぞれ自由が与えられた時代だと思うしね。同時に、自由を履き違えたり、人間の弱い部分が連鎖する、そんな空気があるじゃないですか? 問題定義をしながら、でも曲を聴き終えた後には、駆け抜けた爽快感や解き放たれた開放感ある。とにかく、はじまった瞬間から布袋節満載の……。
昔はね、よくインタビューなんかで、ファンのみんなの期待を裏切るなんてことを軽々しく言ってたんだけど、期待通りがまずはベーシックで、期待以上の音を届けたいなって思いが強くなったし。どこを切っても布袋節満載の曲に仕上がったと思います。
昔ながらのファンの皆さんには懐かしいリフだと思うんですよ。それこそBOØWYの頃を彷彿とさせる、あの頃から僕は変わっているようで変わっていないところがあって。でも、あの頃から自分のスタイルってあったと思うんです。40年間磨きをかけて、さらに布袋らしく届けられたのは嬉しいなと思っています。」
と、自らのスタイルを解説した。
2曲目は、アコースティックで叙情的なメロディーが新境地を感じさせる「10年前の今日のこと」を収録。
「自分の部屋で録ったんだけど、窓辺越しから見える冬から春を告げる日差しが暖かくてね。ちょうど10年前は震災があって、僕ら家族もロンドンに移住して来年で10年ですよ。
10年ひと昔とはよくいうけど、自分の歩んで来た道をたどるような気持ちで……。スタッフに頼んであの頃のスケジュール帳を探したんです。ちょうどCOMPLEXが復興支援で、東京ドームで再結成の準備をはじめた頃で。忘れられないですよね。もちろん震災の爪痕はいまだに残っているし、終わってないし。でも、それを乗り越えようとしてきた強さがあるわけで。それが今は、パンデミックの中にいるわけで。
この曲は、10年前を歌っていながらも今を歌っている歌だし。10年後、俺が70歳になっていて。うちの娘も今はもう19歳ですから。今を感じるための10年前なんですよ。とても気に入っている曲です。」
ロンドンでのロックダウン中、ギターを弾くことが多くなったと語る布袋。ふとギターを爪弾いていたら、いつの時代でも僕らを上向きにしてくれた日本の名曲「上を向いて歩こう」のギターによるカバー作品が誕生した。言葉にしなくてもギターで歌えるナンバーの完成だ。さらにEP『Pegasus』には、エモーショナルな感情に熱い火を灯すRIZINテーマソング「D.O.F. (Death or fight)」も収録している。
映像作品となるLive Film『40th ANNIVERSARY Live “Message from Budokan”』について布袋は、
「400日ぶりのライブだったんですよ。制限された形とはいえ、本来は久しぶりに大好きな日本武道館でファンへ会えるはずだったのが、緊急事態宣言が発令されて皆さんに来ていただけなくなって無観客公演に……。
でも、生配信は決まっていて。40年をたどる、BOØWY〜COMPLEXから今に至るまでのレパートリーを2日間に分けてやったんですけど、実際ライブがはじまったら、誰もいない武道館の客席って、いやあ、涙が出そうになって……。寂しくて悔しくて孤独で……。
でも、カメラの向こうでたくさんの方が観てくれているんですよ。やっぱり、ステージにあがったら関係ないでしょ? ありふれた表現じゃないけど、みんなの声が聞こえてきたんです。」
と感極まりながら回想。無観客という特殊な環境であったことが、ファンとの絆をあらためて感じられたスペシャルなステージになったという。
そして、日本武道館で行われた無観客公演や中止となった群馬、大阪公演へのリベンジへ向けて、最新ツアー『HOTEI 40th ANNIVERSARY Live“Double Fantasy Tour“BLACK or WHITE ?”』のスケジュールを発表。9月25日、北海道・コーチャンフォー釧路文化ホール(釧路市民文化会館)大ホール公演を皮切りに、現在18公演を発表した。
さらに、40周年イヤーの目玉として、布袋寅泰の初ドキュメンタリー映画『Still Dreamin’ 〜布袋寅泰 情熱と栄光のギタリズム~』を2022年公開で発表。本作は、アーティスト活動40周年イヤーを記念し制作される布袋寅泰の40年の軌跡を旅する映画プロジェクト。監督は、映画「モテキ」で第35回日本アカデミー賞優秀編集賞を受賞した石田雄介。多くの映画・テレビ、ミュージックビデオ、ライブ演出など、ジャンルを問わず活躍するいま注目の映像クリエーターによる作品だ。
盛りだくさんのトーク内容。ラスト、MCのクリス・ペプラー氏からファンへのメッセージを求められた布袋。
「みんな元気? 久しぶり。こうやって40周年を迎えることができました。迷ったときも、いつも信じてくれて。そんなみんながいてくれたからこそ今の僕がいると思っています。
この気持ちは、音で返すのが僕の役割だと思っているので。まず4曲入りのEP『Pegasus』、そして無観客ではあったけどみんなの思いで埋め尽くされた日本武道館公演の映像を届けることができたので、じっくり楽しんでいただいて。
この先も、こんな時代ではあるけれどスタッフと心を合わせて、この感謝の気持ちをいろんな形で伝えたいと思っています。」
と熱い思いで答えた。
なお、本日のトークセッションはHOTEI Official YouTube Channel にて、7月5日までアーカイヴ配信される。
布袋寅泰という日本を代表するミュージシャンによる長きに渡る音楽の旅。40周年イヤーを記念する楽曲や映像作品、全国ツアー、エキシビジョン、映画ドキュメンタリー展開に注目をしたい。夢へ向かう物語は“Still Dreamin’”、現在進行形で続いていくのだ。
布袋寅泰オフィシャルサイト