小室哲哉も観覧、DJ KOOやマーク、hitomi、浅倉大介が“TKソング”をリスペクトする特別な夜
●TKヒストリーを彩る名曲を時代を越えてスピン
いい曲しかかからない奇跡の夜だった。
音楽家、小室哲哉が生み出してきた数々の“TKソング”をリスペクトする夜、2024年3月30日(土)六本木SEL OCTAGON TOKYOで行われた『TK SONGS RESPECT NIGHT 02』を目撃した。昨年5月に引き続き、2回目の開催だ。
16時定刻スタート。まずはサングラス姿のオーガナイザーDJ BLUEが挨拶。進行にはなんと、TRFのリーダーDJ KOOがあらわれ、ディスコ調の流暢なトークでフロアを盛り上げる。
トップバッターは、ゆけむりDJs。4月21日に40周年を迎えるTM NETWORKによる、TMN期のヒット曲「WILD HEAVEN」(1991年)から選曲スタート。そのまま、TM NETWORK「RESISTANCE」(1987年)、渡辺美里「My Revolution」(1986年)、中山美穂「50/50」(1987年)、松田聖子「Kimono Beat」(1987年)など、痒い所に手が届くTKヒストリーを彩る名曲を時代を越えてスピン。
“あの曲もこの曲も小室さんが作っていたの?”
TKヒストリーを知らないリスナーには衝撃があったかもしれない。そう、小室哲哉は80年代から著名アーティストへ楽曲提供を多数行っていたのだ。勢いそのままに、90年代に小室哲哉=TKがプロデュースしたtrf〜globe〜篠原涼子〜華原朋美など、矢継ぎ早に時代と写し鏡の存在である名フレーズがフロアに鳴り響いていく。
そして、安室奈美恵「CAN YOU CELEBRATE?」(1997年)、「SWEET 19 BLUES」(1996年)で最初のピークを生み出し、DJ KOOがふたたび登場。ゆけむりDJs (DJ CARP、Nachu)へ、ヒーローインタビューばりに選曲意図などを会話していく。
●globeオンリーのDJセット。そして、まさかのTK登場!
続いて、「みなさんこんばんは、いやこんにちは!!!」と、globeのマーク・パンサーが登場。
しかも、今日はglobeオンリーのDJセットだ。
まずは静かなるオープニング「WHITEOUT」(2022年)からスタート。長らく未発表となっていたglobeオリジナルのレアチューンである。続いて、ロックアレンジによる「Perfume of love」(1998年)をプレイ。ステージ脇では、TK作品を敬愛する華やかなダンサーが盛り上げていく。
そして、「try this shoot」(2001年)が流れるなか、突然、客席の奥でざわめきが起きた。
なんと小室哲哉が会場奥のVIP席にあらわれたのだ。まさに、歌詞での“夢にまで見た、探し続けた景色”という光景そのものだ。作品と現実がシンクロしていく。
そう、小室哲哉が突然会場に遊びに来たのである。
ゲスト出演者にも一切知らされていなかった来場。このことは、マーク・パンサーも驚き、思わず「FREEDOM」(1996年)ではDJ台にあがり、アッパーなアレンジでフロアを熱狂の渦へと巻き込んでいく。
●hitomiが回想する、デビュー時のレアな思い出
ここで、hitomiが登場。DJではなく生歌唱のライブパフォーマンスである。オープニングはデビュー曲「Let's Play Winter」(1994年)、続いて「Sexy」(1996年)と、初めてTOP10入りしたシングル曲で盛り上げていく。女性の強さをエンパワーメントする今の時代にも相応しきナンバーだ。
hitomiは小室さんを目の前に、「緊張するじゃん(苦笑)」と連発していた。
MCでは、1995年に大阪万博記念公園と、東京ベイサイドスクエアで行った元祖フェスというべき『avex dance Matrix '95 TK DANCE CAMP』の思い出に触れ、さらに、六本木R?hallで行った初ライブについて、当時「お客さん10人くらいしかいなくて、その中の1人が小室さん。フードかぶって体育座りしてたの」とレアエピソードを披露。小室は、“覚えているよ”と手を振っていた。
そして、自身の娘が15歳。キャンディーガール世代になったと話しながらヒット曲「CANDY GIRL」(1995年)を、あの頃と変わらないキュートさで歌唱していく。
●浅倉大介による圧巻のリミックスDJプレイ
DJ KOOから、小室哲哉とは師弟関係であり、自身がメンバーであるaccessやプロデュースしたT.M.Revolutionで国内音楽シーンを牽引し、小室とはユニットPANDORAも結成した音楽家、浅倉大介が紹介される。
まずは師匠の小室と熱く抱き合った。感動の瞬間である。
そして、DJスタイルで、TM NETWORK「DEVOTION」(2023年)からスタート。続いて同じくTM NETWORK「GET WILD '89」(1989年)、アニメ『シティーハンター3』のオープニング・テーマとなった小室哲哉「RUNNING TO HORIZON」(1989年)で一気に加速しながら、リアルタイムなリミックスワークでオーディエンスを盛り上げていく。
VIP席から小室哲哉が見守りながら、途中、TK遺伝子を継承した自身のナンバー、access「MOONSHINE DANCE」(1993年)、藤井隆「ナンダカンダ」(2000年)をサプライズ選曲。そして、TKソングへ戻って安室奈美恵「How do you feel now?」(2017年)、宮沢りえ「ドリームラッシュ」(1989年)、TM NETWORK「DIVE INTO YOUR BODY」(1989年)へと盛り上げ、accessカバーによるtrf人気曲「CRAZY GONNA CRAZY」(2013年)、さらに満を持してPANDORA「Be The One」(2018年)へつないでいく圧巻のDJプレイだ。
フロアの体感温度最高潮のままに、イベントへ呼んでくれたDJ KOOへとバトンタッチ。幕間MCでは小室哲哉も加わり、お互いのリスペクトを讃えあう。
●DJ KOO、西川貴教 with t.komuro曲をスピン!
DJ KOOは、ハンドクラップでオーディエンスを巻き込みながら「思いっ切り、TK愛で盛り上がっていきましょ~!!!」と、今年大ヒット中のアニメ映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』主題歌であり、チャート1位を記録した小室哲哉最新曲、西川貴教 with t.komuro「FREEDOM」(2024年)からラストスパートがはじまった。エモーショナルな激情ロックチューンに、大きな歓声で答えるオーディエンスたち。
DJ KOOが「おかげさまで30周年イヤー!!!」と盛り上げ、先日、日本武道館での記念公演を超満員で大成功させたtrf「masquerade」(1995年)へ。さらにこの日、遊びに来ていたアーティストnishi-kenへ「知っている曲をかけるから、小室さんの前で弾いてみてよ!」と煽り、ステージ上のキーボード前へ呼び込んだ。nishi-kenはTM NETWORK「Self Control (方舟に曳かれて)」(1987年)のフレーズを奏で、歌いはじめる。
そう、音楽という楽しさでいっぱい。何でもありの幸せの宴だ。
そして誰もが知っている名曲ばかり続くなか、trfといえばこの曲「EZ DO DANCE」(1993年)をプレイ。フロア爆上がりのなか、オーガナイザーDJ BLUEが呼ばれ大団円を迎えていくフロア。
●TK版「We Are The World」というべき「YOU ARE THE ONE」
DJ KOOそのままに、アンコール代わりにマーク・パンサーがステージへ登場。バックには聞き覚えのあるフレーズが流れている。そう、マークも参加したH Jungle with t「WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント」(1995年)で盛り上がるフロア。8cm CDシングルのアートワークに、実はDJ KOOも写っていたことをふと思い出す。
DJ KOOに呼ばれ、再びステージにあがる浅倉大介。キーボードを前に小室ソロ曲「永遠と名づけてデイドリーム」(1991年)、続けてV2「背徳の瞳〜Eyes of Venus〜」(1992年)からのTMN「TIME TO COUNT DOWN」(1990年)のフレーズをピアノで奏で、オーディエンスの魂を解放していく。
そして、小室も招き入れ、ラストはみんなの心をひとつにしてTK版「We Are The World」というべき、TK presents こねっと「YOU ARE THE ONE」(1997年)を大合唱へ。
ここに小室哲哉自身も参加している意義は大きいことだろう。
現在では引退している安室奈美恵が“このパートを歌っていた”など、様々な思い出が交錯していく。あっという間の3時間。まるで、早くも2024年の大晦日がやってきたかのような宝物のような熱い夜だった。
「TKに感謝と愛を込めて!!!」と、再び呼びかけるDJ KOO。本日登場した豪華メンバー全員とオーディエンスで記念写真を撮影して、一夜の夢は終了。販売されるチケット数を大きく上回る抽選申し込みがあり、プレミアムチケットとなった本日の公演。来るべき、3回目の『TK SONGS RESPECT NIGHT』開催が期待される。
思えば、1994年4月にTMNが終了宣言し(※現在、TM NETWORKとして再起動中)、篠原涼子 with t.komuro「恋しさと せつなさと 心強さと」(1994年)やtrf「survival dAnce 〜no no cry more〜」(1994年)、「BOY MEETS GIRL」(1994年)を立て続けに大ヒットさせたことで、TKファミリーと呼ばれるムーヴメントが生まれるきっかけとなった”あの時代”から今年は30周年を迎える。