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ノート(261) 被害者支援の推移と実刑確定後の情報通知や意見聴取・伝達制度

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~釈前編(21)

受刑380/384日目(続)

「被害者の視点」指導が強化された背景

 刑務所で「被害者の視点」を取り入れた指導が強化されるようになったのは、地下鉄サリン事件後、1990年代後半から高まった被害者支援の機運を受け、2000年代に新たな立法や法改正が相次いだことも影響している。

 例えば、2000年に制定された犯罪被害者保護二法では、証人の著しい不安や緊張を緩和するため、専門のカウンセラーなどを証人に付き添わせることができるようになった。精神的負担の軽減や二次被害防止の観点から、加害者と法廷で顔を合わせないで済むように、衝立などの遮へい物を設置したり、ビデオリンク方式を用いて被害者を裁判所の別室で証言させたりできる制度も導入された。

 事件の種類を問わず、被害に対する恐怖や苦痛、加害者への処罰感情などの意見を被害者や遺族らが法廷で直接述べたり、その旨の書面を検察官に代読してもらえる機会も設けられることになった。

 また、裁判所には被害者や遺族らに対する優先的な法廷傍聴への配慮が義務づけられ、正当な理由があって相当と認められる場合には、公判記録の閲覧や謄写も許されるようになった。被害者と加害者が刑事裁判の中で損害賠償などの民事上の争いについて合意に至り、それが公判調書に記載されれば、裁判上の和解と同一の効力を有することになり、強制執行も可能となった。

 1974年の三菱重工ビル爆破事件を契機として制定された犯罪被害者等給付金支給法も、2001年に大幅に改正され、給付金の支給要件が緩和されるとともに、給付額も増やされた。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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