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「勝つとハードワークができる」エディー・ジョーンズ会見【ラグビー雑記帳】

向風見也ラグビーライター
「満足していない」というリーチ・マイケル主将(左)とジョーンズHC(中)。

ラグビー日本代表は8月22日、ウルグアイ代表戦をおこない30-8で勝利。試合後、エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)がフランカーのリーチ マイケル主将とともに記者会見に出席した。

チームは9月からイングランドで4年に1度のワールドカップ(W杯)に挑む。8月の国内のゲームはその準備である。29日には東京・秩父宮ラグビー場で同じ相手とぶつかり、31日には本大会の登録メンバー31人が決まる。

以下、指揮官の会見要旨。

「きょうはトリッキーな試合でした。相手のディフェンスラインは14人(本来、後方をカバーすべき選手も前にせり上がっている状態)で、ブレイクダウン(接点)も激しく、これは選手の言い訳をしたいわけではないのですが、豪雨のなかの試合みたいにボールが(汗など)で濡れていた。キャリー、パスで勢いをつけられなかった。もっとキックして相手を敗走させないと。後半はよくなった。そこが教訓です。ポジティブなところは、選手が本調子になってきた。堀江(翔太副将=フッカー)は(冬に)首の怪我をしてから一番、いい状態。リーチもいい状態。ツイ(ヘンドリック=ナンバーエイト)もいいコースを走っていた。そこでしっかりとボールをキャッチできれば…。イングランドでは、必ずキャッチしてくれるでしょう。観客も多かった。福岡にはここ何年か来ていますが、いつもは3000~4000人ほどだったのが10000人以上も来ていて(公式で10238人)、ワールドカップのような雰囲気、歓声がとてもよかったです」

――落球について。

「きょうのようにボールが滑るなら、相手にボールを持たせる方がよかった。コーチングボックスのなかでも汗だくだった。それはいつもの通りですが」

――スクラム。

「後半、よくなった。前半は(レフリーの癖などに)アジャストするのに時間がかかりましたが。垣永(真之介)、渡邉(隆之)の若手プロップ2人にも時間をあげられました(それぞれ後半14、28分から出場)。非常にいい経験です。きょうはご褒美で、渡邉はラーメンを食べられます」

――ワールドカップのメンバー選考、という観点で。

「(少し間をおいて)渡邉はよくプレーした。普段の3番と違う1番でスクラムを組んで、ボールキャリーへの意欲が高い。賢い選手です。東海大学の選手のなかでは、稀です。これは冗談ですが。内田(啓介=スクラムハーフ。この日はウイングで先発)も、もしかしたらウイングでプレーできるかもというところを見せた。藤田(慶和=ウイング)もエネルギーを与えてくれた。階段を一段ずつ上がった。(大野)均ちゃん(=ロック)も約60分(57分)プレーして、ビール20缶分の汗をかいた」

――久々の勝利。

「勝つと自信がつく。そしてよりハードワークができる。昨季、ジャパンはテストマッチ(国同士の真剣勝負)で11連勝しました。しかし、今年は負け続け、それほどではなと知れた。ただ、悪いチームではなかった。きょうはちょっとしたご褒美です。それでも向上すべきところはまだあります。アタックでまだまだ思い切りがないところがある。速いボールが出ているところに、(受け手が)勢いに乗れていない。ディフェンスを追い込めていない。修正したいです」

――(当方質問)ボール保持者のプレーの質について。

「ボールキャリーは間違いなく向上した。でも、相手もボールに絡みついた。こちらを封じ込める相手は難しい。そのなかでチームがどんなテクニックを駆使すべきかがわかってきた。いい流れだと思います」

――守備について。

「ウルグアイに(世界選抜戦に出ていたタンゲレ・ナイヤラボロのような)フィジー人の125キロのウイングがいなかったので。紙面上、先週の試合の結果は悪かった。しかし、125キロがいなければきょうと結果は近かった。いま、世界中のチームがフィジー人のウイングを探しています。守備では、リーチがディフェンスコーチのリー・ジョーンズとともにいい仕事をしています」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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