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ウクライナで募金3日で27億円:トルコ軍事ドローン購入予定だったが3機を無償提供・資金は人道支援へ

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

ロシア軍が2022年2月にウクライナに侵攻。ウクライナ軍はトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」を利用して侵攻してきたロシア軍に攻撃している。トルコ製のドローン「バイラクタルTB2」はロシア軍の装甲車を上空から破壊して侵攻を阻止することにも成功したり、黒海にいたロシア海軍の巡視船2隻をスネーク島付近で爆破したり、ロシア軍の弾薬貯蔵庫を爆破したり、ロシア軍のヘリコプター「Mi-8」を爆破したりとウクライナ軍の防衛に大きく貢献している。ウクライナ軍が上空からの攻撃に多く利用しているトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」はロシア軍侵攻阻止の代名詞のようになっており、歌にもなってウクライナ市民を鼓舞している。

ウクライナ軍がトルコの軍事ドローン「バイラクタルTB2」を活用してロシア軍を多く攻撃している。そして爆破に成功するたびに上空からの動画をSNSで公開して世界中にアピールしている。このようなSNSや動画だけを見ていると、ウクライナ軍が優勢のように見えてしまう。だがこのように軍事ドローンで攻撃に成功する前にロシア軍に上空で撃墜されてしまうことも多い。「バイラクタルTB2」でも全戦全勝ではない。ロシア軍の地対空ミサイルに多くの軍事ドローンが撃墜されている。

2022年6月にはウクライナでチャリティ募金のクラウドファンディングが行われ3日で2000万ドル(約27億円)が集まった。この集まった費用で「バイラクタルTB2」を購入しようとしていたが、同機を製造しているバイカル社は「バイラクタルTB2は無償で3機提供します。クラウドファンディングで集まった費用は人道的な支援に使ってください」と発表していた。

▼バイカル社が「バイラクタルTB2」を無償で提供を発表

バイカル社提供
バイカル社提供

検知されたらすぐ迎撃されるので、何台あっても足りないドローン

トルコは世界的にも軍事ドローンの開発技術が進んでいるが、バイカル社はその中でも代表的な企業である。バイカル社のCTOのバイラクタル氏はトルコのエルドアン大統領の娘と結婚しておりトルコでも有名。軍事ドローン「バイラクタル TB2」はウクライナだけでなく、ポーランド、ラトビア、アルバニア、アフリカ諸国なども購入。アゼルバイジャンやカタールにも提供している。2020年に勃発したアゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノカラバフをめぐる軍事衝突でもトルコの攻撃ドローンが紛争に活用されてアゼルバイジャンが優位に立つことに貢献した。タジキスタンも購入を検討している。

トルコの軍事ドローンだけでなく、米国バイデン政権は米国エアロバイロンメント社が開発している攻撃ドローン「スイッチブレード」を提供。さらに「フェニックス・ゴースト」も提供する。英国も攻撃用の軍事ドローンをウクライナ軍に提供している。ロシア軍はロシア製の軍事ドローン「KUB-BLA」で攻撃を行っている。両国ともに軍事ドローンによる上空からの攻撃を続けている。軍事ドローンが上空から地上に突っ込んできて攻撃をして破壊力も甚大であることから両国にとって大きな脅威になっている。

両軍ともに攻撃や監視・偵察にドローンを活用しているが、ドローンは上空で撃破されたり、機能不全にされている。ドローンは何台あっても足りない。検知されたらあっという間に爆破されたり機能不全にされたりしてしまう。破壊力もありロシア軍への攻撃実績のある「バイラクタルTB2」はロシア軍にとっては一番目障りな兵器の1つだから、探知したら徹底的に爆破しようと迎撃している。そのためウクライナ政府は各国にドローンや多くの武器の提供を呼びかけている。

▼「バイラクタル TB2」を称えたウクライナの歌

▼バイカル社の攻撃ドローンの「バイラクタル TB2」

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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