防衛省技術研究本部と情報通信研究機構が研究協力
3月26日、自衛隊の装備品の研究開発を行う防衛省技術研究本部(TRDI)と、総務省所管の独立法人で情報通信技術の研究開発を行う情報通信研究機構(NICT)が、電子情報通信分野における互いの研究を推進するための協定を締結しました。
NICTが発表したプレスリリースでは、NICTの持つサイバーセキュリティ技術を用いて自衛隊のサイバー演習環境構築技術の研究や、Software-Defined Network(SDN:ソフトウェアにより動的に構成を変更可能なネットワーク)等の先進的なネットワーク仮想化技術を利用し、抗堪性の高い通信の研究等を行うとされています。
また、TRDIの発表でも「高分解能映像レーダ(合成開口レーダ)に関する技術情報交換等」を行うとしており、観測衛星や監視レーダー等への波及効果が期待されます。
この提携の背景として、今後の伸びが期待できない国の研究開発予算の効率化と、必要性が高まっているサイバー防衛への備えという側面があると見られます。近年はサイバー空間上での攻防は益々激しくなっており、2010年にはイランの核施設がウィルス攻撃を受け、8,400台の遠心分離器が感染し、イランの核開発が数年遅れたとも言われるなど、国家に深刻なダメージを与える事態も起きています。爆弾1つ使わずに、一国を危機に陥れる事が可能になったのです。
NICTとTRDIの提携が発表された同日、自衛隊内にサイバー防衛隊が発足しました。今後、NICTとTRDIの提携はNICTが持つ情報セキュリティ技術を、実際のサイバー防衛にあたる自衛隊装備に応用する点で有用と見られます。サイバー空間は国家と民間、集団と個人が近しく存在している場所で、官民を挙げた対策が今後も求められます。防衛省だけでなく、様々な機関・団体にも成果の恩恵があればと思います。
【プレスリリース】