Yahoo!ニュース

NY金29日:FOMC後に続落も、下げ幅は限定的

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金6月限 前日比比3.90ドル安

始値 1,211.40ドル

高値 1,213.50ドル

安値 1,203.90ドル

終値 1,210.00ドル

引け後に米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明発表を控える中、ポジション調整中心の小動きで小反落した。FOMC声明発表後は、やや売り圧力が強まり、1,205ドル水準まで続落している。

引け後にFOMC声明というイベントを控える中、積極的に売買を仕掛ける動きは見られなかった。前日に急伸していた反動で、アジア・欧州タイムはやや調整売りが優勢になるも、1,200ドルの節目を割り込むまでの勢いは確認できなかった。逆に、1~3月期国内総生産(GDP)が前期比年率+0.2%となり、市場予測+1.0%を下回ったことが下値を支えるも、FOMCの結果を見極めたいとのムードが支配的だった。1~3月期の米経済減速がマーケットの想定よりも厳しかったことは金価格にとってポジティブだが、それが米金融政策環境にどのような影響を及ぼしているのかを確認したいとする向きが多く、積極的な売買は仕掛けられなかった。

引け後に発表されたFOMC声明文であるが、冬季の経済成長減速が示されたと総括した。事前に公表された地区連銀経済報告では緩やかな成長が報告されていたことと比較すると、やや厳しい現状認識と言える。これによって、6月利上げの可能性が遠のいたことは間違いない。ただ、その要因について「一過性の要因を一部反映」としたことが、金市場ではネガティブ材料視されている。あくまでも一時的な要因に基づく景気減速であれば、利上げ着手を模索する流れそのものに変化は生じないことになる。改めて利上げ議論を盛り上げていくには米指標の改善が再確認されることが必要不可欠であるが、「景気減速→利上げ先送り」のフローが警戒されていた最近の金市場においては、売り材料との評価が優勢になっている。

もっとも、FOMC声明文発表後の下げ幅は5ドル前後であり、大きな値動きには発展していない。為替市場では、依然としてドル高是正の動きが続いており、ドルインデックスは2月26日以来の安値を更新している。米長期金利に対して改めて上昇圧力が強くなっていることはネガティブだが、金相場の急落を促す程にはタカ派の内容でもなかった。

画像
マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

小菅努の最近の記事