発見! 高崎市に「焼鳥×日本酒」の穴場。純米燗酒だけで50種以上【清水/群馬】
今回、冒険するのは群馬県高崎市の焼鳥屋「清水」。店があるのは高崎駅からほど近くのレンガ通り沿いだ。街はどこか懐かしい匂い。昔ながらの店から、ちょっと感度の高そうな飲み屋まであるなか、「清水」は焼鳥屋とは思えないスタイリッシュな外観で目を引いた。なんでも、日本酒の品揃えに定評があるのだとか。そんなことを聞くと、吞兵衛としては俄然楽しみになってくるじゃないか。
高崎駅近くのレンガ通りにひっそり
扉を開ければ厚みのある音。それは焼鳥が焼ける音ではなく洋楽。まるでバーのような雰囲気といったところで、先客が思い思いに日本酒に興じていた。そう、焼鳥はもちろんのこと、お目当ては「日本酒」だ。
最近は〝冷酒〟を飲まなくなったこともあり、真っ先に純米燗酒のメニューをのぞく。……おお。ざっと見ただけでも50種以上の銘柄が揃っているじゃないか! 店の奥に目をやれば、日本酒の瓶がぎっしりと収まったセラー。なるほど、納得。思った以上にマニアックな店に来てしまったのかもしれない。
純米燗酒の品揃えは、圧巻!
純米燗酒向けに用意された酒は、十旭日(島根県)に日置桜(鳥取)、秋鹿(大阪)、竹鶴(広島)、仁井田本家(福島)、睡龍(奈良)、義侠(愛知)、悦凱陣(香川)……。まさに燗酒におあつらえ向きといったラインナップ。うーん。これは「日本酒党燗酒派」にはたまらない。
なかでも、まず気になったのが群馬泉の山廃仕込み。燗につけるとまろやかで、それでいて爽やかな酸が鼻をくすぐっていくよう……。やっぱり地酒はいい。こうして、酒を通して知らない土地の香りを運んでくれるのだから。
まずは焼鳥セット7本から
焼鳥はまず7本セット(1982円)を頼むのがお決まり。どうやらコースもあるようだけど、初見ならセットが気軽だ。差し出された1本目はプリュッと弾けるようなせせり。しかも、珍しいことにねぎま! 肉の脂とねぎの香味。それが一体となって、また一口と燗酒を呼び込むわけだ。
続くハツは開かず、ハツモトだけを落としたもの。やや浅めの火入れが特徴的で、そのハツの脂を燗酒がさらっと流してくれる。やっぱり焼鳥は冷酒よりも燗酒が合う。間違いない。
鞍掛豆は頼んでおきたい肴
種類は多くないものの、焼鳥以外の肴もいろいろ。そのなかに鞍掛豆を見つけた。飲み屋で豆といえば枝豆が定番だけど、青大豆の一種、鞍掛豆は味も香りもぐっと濃い。純米燗酒のふくよかなうまみとも、文句なしに合う。
焼鳥の合間に鞍掛豆をちょいと摘まむのがたまらない。もう、すべての焼鳥屋に取り揃えてほしいくらいだ。
とろりとしたレバーに、つくね
さぁ、焼鳥も終盤。レバーはくせがなく、とろけるような仕上がり。そういえばメニューには白レバーとあった。地鶏のようなこっくりとした脂をもっているわけではないけど、これもなかなか。タレをからめた濃厚な味わいは燗酒とも相思相愛だ。
焼く直前に捏ねるつくねはむっちりとして、ほどよい弾力。しっかりアツアツなのもいい。手前のレバーもそうだけど、「清水」のタレはキリッとして、さらりと軽いのでどんどんいける。
一番燗酒に合ったのはもも西京漬
串も食べ終わり、もう少し摘まみたい気分。焼鳥ではないけれど、もも西京漬が気になって頼んでみれば、これが大正解! 地に漬けた若鶏のもも肉はみずみずしさを保ちながら、白味噌の風味がじんわりとしみ込んでいる。皮もパリッとして香ばしい。いいね。これは純米燗酒との相性は言うまでもなく。
しかし、純米燗酒をこれだけ味わうのも久しぶりだ。まさか高崎市でここまで尖がっている店に出合うとは思いもしなかった。今どきの焼鳥屋はどうしても「焼鳥とワイン」を推す店が多くなった。ピノ・ノワールやシャルドネといったワインも合うとは思うけど、今改めて「焼鳥と純米燗酒」の魅力に触れてみてもいいと、思うんだよなぁ。
▼冒険のおさらい
①純米燗酒の種類は50種以上
②焼鳥セット7本かコースで
③もも西京漬けは最強の肴
店舗情報
【店名】清水
【最寄り駅】高崎駅
【住所】群馬県高崎市連雀町11-2
【予約】027-388-9129
【定休日】月曜
【串のアラカルト】なし
【コース・セット】1982円~