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【対談企画】「”生産性”を考えよう」井上一鷹×倉重公太朗 第1回 JINS MEME誕生秘話

倉重公太朗弁護士(KKM法律事務所代表)

(第1回 JINS MEME誕生秘話)

倉重:「倉重公太朗の労働法の正義を考えよう」の対談企画第3弾はJINSの井上さんにお越しいただきました。どうもこんにちは。

井上:よろしくお願いいたします。

倉重:では、簡単に自己紹介をお願いできますか。

井上:はい。眼鏡のJINSという会社で、僕がJINS MEME(ジンズミーム)という、今掛けているメガネなんですが、このJINS MEMEというものを開発から事業開発を含めてマネジメントをしている人間です。

MEME
MEME

倉重:ミームは英語で書くと「MEME」でいいんですか。

井上:そうです。「MEME」ですね。

   何ができるかというと、普通の眼鏡に見えて、目の動きとまばたきと姿勢をずっとモニタリングをして、今やっているもので言うと、いわゆる生産性のすごく大事な一部である、その人自体が今この瞬間どれぐらい集中しているかということを見える化する、そんな眼鏡を作って、今HR系の働き方改革に向けて、眼鏡で見える化できたこの集中力をどうやって本当に高めていけるかということをBtoBのソリューションにしているんです(下記URL参照)。

JINS MEME 公式サイト

倉重:なるほど。そのMEMEの開発責任者ということですね。

井上:そうです。

倉重:MEMEという眼鏡を掛けることによって、眼球の動きとまばたきで生産性を数値化して測定するんですよね。

井上:そうです。まばたきの回数と強さですね。

倉重:強さで。それで集中度合いが数値化されるんですよね。

井上:そうです。

倉重:つまり、集中度合いを見える化しようというデバイスだと思うんですけれども、最近は生産性という言葉がキーワードになっています。この「生産性」を見える化するいうことについてどう想いがあったんでしょうか。MEMEを作ろうと思われたきっかけについて教えてもらえますか?

井上:まず一番最初は眼鏡ってパンツの次に付けている時間が長いねということになりまして、もう7年前ぐらいかな、東北大の川島隆太先生というニンテンドーDSの脳トレの先生なんですけれども。彼といろいろ新しい眼鏡について議論していく中で、実はパンツの次に付けている時間が長いと。かつ、パンツは毎日替えるから、実はその人のことを一番知られるのって眼鏡なんじゃないの?というのがスタートです。

倉重:むしろパンツよりも自分をよく知っていると(笑)

井上:そうなんです。パンツだと毎日替えてデバイスを入れなきゃいけなくなるんで(笑)

倉重:パンツ型デバイスは大変そうですね。

井上:なので、眼鏡でその人の状態を知りたいと思ったのです。目の動きって「目は口ほどにものを言う」という言葉のとおり、日本人って目を見て話せとか目を使った慣用句がむちゃくちゃ多いんですよ。

 なので、目からその人の状態をくみ取ろうという国民性が強くて。であれば、じゃあJINS MEMEって眼鏡を掛けているだけで、パンツより付けている時間長いんで、ずっとその人の状態を知りたいと。

倉重:なるほど。

井上:じゃあ、何が一番知りたいかという話をしたときに、その時ぐらいからもうずっと、もうもっと前ですよね、30年ぐらい前からホワイトワーカーの生産性が先進国で一番低いとずっと言われていますよね。

倉重:それはよく言われる話ですね。

井上:そういうものをちゃんと見える化できたら、一番最初は実は認知症の対策にならないかという話をしたんですよ。頭を使っていれば使っているほど認知症になりにくいんじゃないかと。

倉重:ああ、なるほど。

井上:やっぱり体は万歩計で測って、あんまり歩いてなかったら肥満になるとかメタボリックシンドロームになるというのは、今の人ってデータから予測して行動を変えているじゃないですか。じゃあ、脳の万歩計を作ろうというところから始まったんですよ。

倉重:そういうスタートなんですね。

井上:それで、同じロジックで若者、僕らぐらいの世代の人間がそれをどう活用できるかということを考えたときに、いわゆる「生産性」という言葉のすごく大事な一部として集中を扱ってみようかという話になったんですね。

倉重:そういうふうにプロジェクトが始まったのって、何年前ぐらいの話ですか。

井上:一番最初はもう7年ぐらい前です。東北の大震災のすぐ後ぐらいに、このアイデアを頂いたので。

倉重:7年前じゃまだ全然今みたいな働き方改革とか生産性とか言っていなかったですよね。

井上:言っていなかったですね。

倉重:すごくいいところに目を付けましたね。

井上:いや、その頃はヘルスケア側のことを考えていたんですね。

たまたまそういうものを目指していたときに、時代の潮流と合流してきたというのが最近の動きかなというふうに思っています。

倉重:なるほど。今年の国会でも働き方改革法案が通ったり、世の中でも「働き方改革」という言葉はすっかりお馴染みになりましたよね。そこで言われているのは、残業を削減しよう、特にホワイトカラーについては生産性上げようなんていうのが、よく本当に毎日いろんなところでもニュースでも見ますし、いろんな会社でもやられていますけれども。

井上:ずっと盲目的に言っていますね。

倉重:井上さんがおっしゃったように、そもそも「生産性って何だ?」というところですよね。

井上:はい。僕がよく言っているのは、生産性という言葉は、やはりメーカーの製造ラインで使われていた言葉だと思うんです。

 そうすると、その製造ラインで何のアウトプット、何の製品を作るかって、もともと決まっていると。カローラをつくるって決まっている製造ラインの中でインプットの効率化をするため、人をどれだけ減らせられるかとか、工数をどれだけ減らせられるか。この効率化の概念で使われていたのが生産性という概念なんですよ。

倉重:車を何台1時間で作れるか、そのために工程がいくつあるか、そこに人をどれだけかけるかという話ですよね。

井上:そうです。そうすると僕らはホワイトワーカー、僕もそうだし聞いていらっしゃる方多いと思うんですけれども、いわゆる知的生産をしている人間にとって自分のチームメンバーに対して「君の生産性を上げろ」という言葉を使ったとしたら、それってどういうふうに聞こえるかというと、「もうどうせアウトプットはこの辺なんだから、効率化しろよ」って聞こえるはずなんですね。

倉重:はい。

井上:これが百歩譲って正しいとしても5年、10年後、効率的な仕事はAIが食ってくれるので。

倉重:そうですね。

井上:「効率的な仕事を思考するような語感の言葉を使うのはやめませんか?」というのが僕の主張なんですね。

倉重:なるほど。

井上:生産性、生産性という言葉で誰がモチベーションが上がっているのかというのが、すごく最近問題だなと思うのと、あとどうしてもそれを測ることができない尺度なので。

倉重:そうですね。

井上:結果として出たその収益と掛けた工数という結果の割り算でしか出していないので。それってじゃあどうやって高めるかということが分解し得ないと。

 なので、集中というのはその一部なんですけれども、それを見える化することに成功し始めたので、なんでじゃあそこからトリガーに少しでも昨日より今日、改善しようと思ったんです。

(第2回へつづく)

【対談協力】井上一鷹

JINS JINS MEME事業部 事業統括リーダー Think Lab兼任

大学卒業後、戦略コンサルティングファームのアーサー・D・リトルにて大手製造業を中心とした事業戦略、技術経営戦略、人事組織戦略の立案に従事後、ジンズに入社。JINS MEME Gr マネジャー、Think Labプロジェクト兼任。算数オリンピックではアジア4位になったこともある。最近「集中力 パフォーマンスを300倍にする働き方」を執筆

弁護士(KKM法律事務所代表)

慶應義塾大学経済学部卒 KKM法律事務所代表弁護士 第一東京弁護士会労働法制委員会副委員長、同基礎研究部会長、日本人材マネジメント協会(JSHRM)副理事長 経営者側労働法を得意とし、週刊東洋経済「法務部員が選ぶ弁護士ランキング」 人事労務部門第1位 紛争案件対応の他、団体交渉、労災対応、働き方改革のコンサルティング、役員・管理職研修、人事担当者向けセミナー等を多数開催。代表著作は「企業労働法実務入門」シリーズ(日本リーダーズ協会)。 YouTubeも配信中:https://www.youtube.com/@KKMLawOffice

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