「予告なしに射殺せよ」中国ー北朝鮮国際列車の恐ろしいルール
昨年1月から運行が再開された、中国の丹東と、北朝鮮の新義州(シニジュ)を結ぶ国際貨物列車。デイリーNKは、その運行に関する内部文書の入手に成功した。
「24基地の運営指導書を修正補充することについて」と題されたこの文書。「24基地」とは、輸入品に対する検疫と消毒を行う新義州郊外の大規模施設「国家西部物流総合処理場」のことを指す。
「中朝親善橋(鴨緑江大橋)の入口から新義州青年駅までの行動秩序」という項目には、「新義州青年駅の警備中隊は必要な場合、哨所(検問所)を増強配置し、密入国者と非法越境者(脱北者)、違法に封鎖区域に入ってきたり出ていったりする者は予告なしに射殺する」との内容が含まれている。
また、「新義州青年駅を出発し24基地に到着するまでの行動秩序」の項目にも、「輸入物資を積んだ列車が通過する際、通行禁止区域に入ってくる者は予告なく無条件で射殺しなければならない」とある。
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さらに、「24基地警備封鎖作戦組織及び行動秩序」の項目にも、「輸入物資を積んだ列車の運行時、線路を遮断する垣根から30メートル以内に侵入した者、線路を遮断する垣根を破壊したり、線路に入ったりする者、輸入物資を積んだ列車に乗り込んで輸入物資を盗もうとする者に対しても予告なしに射殺せよ」と書かれている。
そして、「列車が運行されていないときに通行禁止区域に接近する者を発見すれば、即時予告なしに制圧し、取り締まりに応じない場合は無慈悲に射殺せよ」とも書かれている。
射殺命令のオンパレードだが、北朝鮮は、新型コロナウイルスが輸入物資に付着して国内に流入すると考えており、接近の理由の如何を問わず射殺している。社会安全省(警察庁)は2020年8月、中国との国境線や、その1〜2キロ以内の緩衝地帯に許可なく接近すれば、警告なしに銃撃するとの布告を出したが、そのせいで犠牲になった人も少なくない。
また、国家西部物流総合処理場では一時、窃盗事件が相次いでいた。「輸入物資を積んだ列車に乗り込んで輸入物資を盗もうとする者」への射殺命令は、このような状況を反映したものと思われる。
一方、輸入物資を積んだ貨物列車が到着する1時間前から、鴨緑江大橋の入口から新義州駅までの線路の内外50メートルの区間を完全に封鎖することも、文書には記されている。なお、橋から駅までは800メートルほどあるが、なぜ50メートルなのかは不明だ。
世界保健機関(WHO)は5日、新型コロナウイルス感染症に関する「国際的な公衆衛生上の緊急事態」を終了すると発表したが、北朝鮮がこのような措置をいつまで続けるのかはわかっていない。