メッシとスアレスの「MSコンビ」は解体されるのか?困難になるラウタロとデパイの獲得と「新9番」の選定
リオネル・メッシの残留は決まった。だがバルセロナの課題は山積みだ。
この夏のメッシの退団騒動は波紋を呼んだ。最終的には契約解除金7億ユーロ(約875億円)を支払うクラブが現れない限り移籍を認めないとジョゼップ・マリア・バルトメウ会長が主張を固辞してエースの残留が決定している。
ただ、メッシがインタビューで「会長は言葉を守らなかった」と語ったように、両者の関係は決して良好ではない。
火種は燻っている。そして、いま、バルセロナが抱える大きな問題のひとつがそのメッシのパートナー探しだ。
「メッシ退団騒動」に気を取られているうちに、ルイス・スアレスの退団が決まりかけている。ロナルド・クーマン新監督は就任早々、「余剰戦力」の整備に着手。スアレスには構想外である旨が伝えられ、現在ユヴェントス移籍に近づいている。
メッシとスアレスは、長きにわたりバルセロナの攻撃の主軸として活躍してきた。この6シーズン、メッシとスアレスは478得点を記録。その間のチームの得点数が902得点なので、全体の53%を2選手が記録していた格好である。
ただ、スアレスの後釜を見つけるのは簡単ではなかった。
バルセロナはスアレスの代役として、かねてからラウタロ・マルティネスに目を付けていた。だがインテルが移籍金9000万ユーロ(約112億円)を要求しており、交渉は難航している。
■デパイの獲得は
もうひとり、獲得候補に挙げられていたのがメンフィス・デパイだ。デパイはマンチェスター・ユナイテッドでは不遇の時期を過ごしたが、2016年夏にリヨンに移籍して輝きを取り戻した。過去3シーズンにおいては、2017-18シーズン(公式戦22得点)、18-19シーズン(12得点)、19-20シーズン(15得点)と二桁得点を記録している。
彼の加入をクーマン監督が望んでいるようで、移籍金2500万ユーロ(約31億円)前後で獲得できる可能性がある。だがその移籍金さえ、現在のバルセロナには捻出するのが難しい。
バルセロナとしては、移籍金が高額な選手を獲得する前に選手を売却しなくてはならない。だが先述したようにスアレス、アルトゥーロ・ビダル、イバン・ラキティッチ、サミュエル・ウンティティといった選手たちはすでに構想外であることが漏れ伝わっており、これでは高値で売るのは困難だ。現に、セビージャがラキティッチ獲得に支払った移籍金の固定額はわずか150万ユーロ(約2億円)である。
クーマン監督はプレシーズンマッチで【4-2-3-1】の布陣を試している。CFに据えられたのはアントワーヌ・グリーズマンで、メッシにはトップ下のポジションが与えられた。いかにして「MS」時代の次を描くのかーー。その図は新指揮官の頭の中にのみ存在する。