Yahoo!ニュース

広告異物混入に対してのYahoo!八分

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です!

Yahoo!ニュースへの情報提供に関する契約書
Yahoo!ニュースへの情報提供に関する契約書

「Yahoo!ニュース」からステマ記事排除へ、悪質事業者には法的措置も「Yahoo!ニュース」に提供する記事にノンクレジットの広告が混入されるという報道を受けて、Yahoo!ニュースからの声明があった。

今回の声明では「今後も、契約違反が明らかになった場合は、契約解除はもちろんのこと、Yahoo!ニュースが信頼を損なうことによって被った損害や信頼回復のために要した費用の請求、その他法的措置を含む厳正な対処を行います」と警告している。ニュース提供社だけでなくステマに関与した広告事業者などにも「厳正な対処」は及ぶのかとの問いに対し、同社広報室は「ステマ配信がそのような複数の関係者で行われていた場合には、今後、ニュース提供社のみでなく、それを促す企業への処置も検討していきます」と答えた。また、今回声明を出したタイミングとは無関係だとしながらも、同日付けで、「マイナビニュース」と「マイナビウーマン」を配信するマイナビ、「モデルプレス」を配信するネットネイティブの2社3媒体との契約を解除したと明かした。

出典:「Yahoo!ニュース」からステマ記事排除へ、悪質事業者には法的措置も--ヤフー声明

Yahoo!ニューススタッフブログのコメント

編集コンテンツと誤認させて広告を届ける行為(ステルスマーケティング、いわゆるステマ)に対する考え

Google八分を覚えてますか?

かつて「Google八分」というコトバがあったのが記憶にあるだろうか?

「Yahoo!八分」という状況になりつつある。

ただ、今回の「Yahoo!八分」はGoogleという外国企業の国際的な総括判断ではなく、日本のYahoo!が日本の読者や閲覧者に広告が混入させた記事を見せないための「八分」であるから意味が違う。しかし、Yahoo!ニュースそのものが記事のアグリゲーションとキュレーションを兼ね、そこに広告が混在しているから、日本最大のキューレーションメディアの王様ともいえよう。

違うのは、キュレーションされる側との契約にもとづいている点である。だからこそ、タイトルにおける13文字の編集権さえ認められている。

ネイティブ広告とステルスマーケティング

そもそも、「ネイティブ広告」のような広告と記事のハイブリッドが出始めてややこしくなったと思う。ネイティブ広告は広告の新たなカタチというが、視聴者、読者側にとっては、記事と広告が混在すること事態が、単に迷惑な話である。ただ、無料メディアなんだから、広告スペースにおいてクリック率が落ちれば仕方がないことであることも理解しなければならない。テレビCMはスキップされていることがデータとしてわからないが、インターネットではスキップされていることが、広告主にも当然可視化されているからだ。PVにおける広告クリック率というのが明確だ。それが、ネイティブ広告のような広告と記事のハイブリッド亜種が誕生する背景となった。

しかもネイティブ広告を説明しようとするとこんな状況になるほど、広告異物記事混入に尽力が注がれている。

ネイティブ広告の6種類

http://webbu.jp/native-ad-669

JIAAネイティブ広告に関する推奨規定

http://www.jiaa.org/download/JIAA_nativead_rule.pdf

JIAAインターネット広告倫理要項及び掲載基準ガイドライン

http://www.jiaa.org/download/JIAA_rinrikoryo_keisaikijyun2015_03.pdf

しかし、、いくらクレジットされようが、広告スペースが記事スペースに混入されることによって、読者は自然に情報をフラットに見てしまう傾向がある。ネイティブ広告はある意味、必要悪だったのだ。しかし、ステマ記事(ステルスマーケティング記事)の場合は、ネイティブ広告とはちがって悪質であることは明確だ。たとえ、そこに金銭の授受があるかどうかとかの背景だけではなく、利益供与の有無も考えられる。力学も存在する。それが、Yahoo!ニュースというニュース配信のシンジケーションメディアであればあるほど、それを拡散することに対しての責任は問われて当然だ。

ひいてはヤフー個人ニュースにもこの考え方は適応される

Yahoo!ニュースの媒体内もありながらも、あくまでも、Yahoo!ではなく、個人のご意見という中途半端なポジションがYahoo!個人ニュースだ(笑)。しかし、Yahoo!ニュースを読んでいる人にとっては、Yahoo!のコラム執筆者であるという自負も責任も必要だ。欧米での新聞媒体においてのコラムニストというオピニオン記事は単なるストレートニュース以上の価値を持っている。有償、無償の違いはコラムが読めるかどうかという電子媒体さえあった。個人ニユースの執筆者の1人としても、専門的オピニオンという立場を再確認し自負したいと思う。

またYahoo!ニュースといえども、スマホ世代が成長し、スマホのキュレーテッド、ニュースメディアとしての価値はまだまだ盤石とはいえない。PCセントリックな、トップページがYahoo!でポータルである時代はそう長くは続かない。いやすでに、Yahoo!はスマホにおいては、後発のフォロワーだといえる。また、2015/07/27 「ヤフー、月平均利用者数で首位陥落 米グーグルが浮上」というニュースも流れた。スマホ時代に求められるニュースとは?広告とは?

個人ニュースは、Yahoo!ニュースが正しい方向へ向かうという事に対しても、コミットメントできる立場でもある。Yahoo!ニュースの一読者であるというポジションと共に、この新たな激動の世界を「自分事」として関わって行きたい。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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