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大谷翔平がキャンプ初のブルペン入りで見せた進化と指揮官が指摘する「フォームの反復力と制球力」

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
キャンプ初のブルペン投球を行った大谷翔平選手(Angeles Baseball)

【大谷選手がキャンプ初のブルペン入り】

 2年越しで二刀流の完全復活を目指す大谷翔平選手が現地時間の2月18日、スプリングトレーニング開始後初めてブルペン投球を行い、公の前で投球を披露した。

 エンジェルスを担当するジェフ・フレッチャー記者によれば、今回は27球を投げ、最速は90マイル(約145キロ)を計測していたという。

 スプリングトレーニング初日のオンライン会見でジョー・マドン監督は、大谷選手がオフの投球練習で95マイル(約153キロ)を計測していたとの報告を受けていると説明していたが、残念ながら今回は150キロ台を計測することはなかった。

 それでも大谷選手は、練習後のオンライン会見で充実した表情を見せており、このオフは充実した調整ができていたことを窺わせた。

【投球フォームに明らかな変化が】

 チーム広報から送られてきた大谷選手のブルペン投球をチェックして、真っ先に目についたのが投球フォームの変化だ。これまでの大谷投手とはかなり違う投げ方をしている。

 前述のフレッチャー記者がTwitter上で大谷選手の動画を投稿しているので、ぜひ確認して欲しい。

 如何だろう。フォーム全体の動きにかなり違いがあるのが理解できないだろうか。

 最も目についた変化が下半身の使い方だ。これまでの大谷選手は左足をほぼ真っ直ぐ上げていたのに対し、現在の大谷選手はやや捻りを加える動作を加えているのが分かる。

 またこれまでは投げ終わった後両足で踏みとどまっていたのだが、現在は投げ終わった後に数歩前に動き出す動作が目立つようになっている。体重移動という面で変化が生じたからだろう。

 さらに上半身に関しても、これまで左足を上げた際は直立気味に立っていた上体が、今は足を上げながら背中に丸みが出ているのが理解できるだろう。

【大谷投手「モーション的にも去年よりいい」】

 残念ながらオンライン会見ではメディアからフォームの変化について質問が出ておらず、大谷選手が意識して現在のフォームに変えているのかまでは確認できなかった。

 ただ投球をする上で、昨年までになかった感覚で投げられている手応えを口にしている。

 「(手術した)患部の部分でいうと、去年より馴染んできているかな、自分の身体になってきているかなという感覚が去年より全然強いと思います。

 モーション的にも去年よりいいものがあるかなと…。(身体とフォームの)どちらも今のところはいいのかなと思います」

 右ヒジの状態もほぼ万全になった中で調整を続けていく中で、現在のフォームに辿り着いたようだ。

【マドン監督が指摘する2つの改善点】

 マドン監督も初めて実際に見た大谷投手の投球に、手応えを感じているようだ。昨年とは2つの点で改善されていることを説明している。

 「フォームの反復力と制球力だ。昨年はフォームに安定感がなく、それが問題の1つになっていたが、今はフォームをしっかり反復させ、ほぼ捕手が構えるミットの周辺に投げられている。

 今はどれだけすごい球速を出しているかは全く気にしていない。とにかくフォームの反復力と制球力を重要視している」

 マドン監督はオンライン会見後に大谷選手と直接面談を行うことを明らかにし、今後の起用を含め意見交換しながら本人の考え方をしっかり把握したい考えを示している。

 まずは二刀流完全復活に向け、大きな一歩を踏み出したようだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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