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ウクライナ軍のフランケンSAM(ブーク防空システム+シースパロー迎撃ミサイル)が初公開

JSF軍事/生き物ライター
ウクライナ空軍東部作戦司令部よりフランケンSAM

 ウクライナ軍が旧ソ連時代から保有している東側製防空システムは迎撃ミサイルの在庫が枯渇しつつあり、これを解決するために「東側製防空システムから西側製迎撃ミサイルを発射する」というコンセプトの東西合体改造兵器、通称フランケンSAM(SAMは地対空ミサイルの略語)が既に投入中ですが、その姿が初めて公表されました。

ブーク防空システム+RIM-7シースパロー迎撃ミサイル

ウクライナ空軍東部作戦司令部よりフランケンSAM
ウクライナ空軍東部作戦司令部よりフランケンSAM
  • ブークM1の9A310M発射車両+RIM-7シースパロー艦対空ミサイル
  • シースパローは剥き出しではなくキャニスターに入れて搭載
ウクライナ空軍東部作戦司令部よりフランケンSAM
ウクライナ空軍東部作戦司令部よりフランケンSAM

※出典:ウクライナ空軍東部作戦司令部「Схід"(スヒード、東)」

 ブーク+シースパローの組み合わせのフランケンSAMです。ウクライナ軍の元のブークは迎撃ミサイルを剥き出しで4本搭載する形態であるのに対して、フランケンSAM化したこれは箱型キャニスターに収納したシースパロー迎撃ミサイルを4本搭載しているように見えます。ただし偽装ネットを張ってあるので見え難くはっきりとはしていません。

 なお写真をUPしたウクライナ空軍東部作戦司令部は文章ではフランケンSAMかどうかは何も説明していません。

 スパロー系のミサイルを地上発射型にした防空システムは西側に幾つかありますが(スカイガード、スパーダ)、スパロー系のミサイル(スパロー、シースパロー、アスピーデ、スカイフラッシュ)はどれも撃てるので、ウクライナ軍のフランケンSAMも同様にスパロー系の全種類を撃てるでしょう。スパロー系のミサイルはやや古いですが西側の各国で在庫が多いので、ウクライナに供与できる余裕がまだ残っています。

 なおフランケンSAMはブーク+スパロー系の組み合わせだけでなく、S-300+PAC-2や東側製防空システム(種類不明)+AIM-9サイドワインダーといった組み合わせも噂されていますが、現状では今回のブーク+シースパローのみが実物を確認されています。

フランケンSAM型と通常型のブークの比較

ウクライナ軍よりブーク防空システム(上はフランケンSAM型、下は通常型)
ウクライナ軍よりブーク防空システム(上はフランケンSAM型、下は通常型)

 ブークの本来の9M38迎撃ミサイルに比べるとシースパローは一回り以上短く小さく、有効射程もやや短くなります。

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人兵器(ドローン)、ロシア-ウクライナ戦争など、ニュースによく出る最新の軍事的なテーマに付いて兵器を中心に解説を行っています。

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