桜前線のゴールと冬の終わり
植物の発芽や開花、紅(黄)葉、落葉などの日を毎年同じ場所で標本を決めて観測することを植物季節観測といいます。また、動物の出現や渡り鳥の去来、鳴き始めなどを観測することを動物季節観測と呼び、季節の進み・遅れや農作業の適期などを知るのに役立っています。
桜前線のゴールイン
桜の開花日の同じ地点を結んだ線が桜前線で、今年は、3月19日に福岡を出発して、5月10日に釧路、13日に稚内に到着しました。
これは、有人の気象台等が行った観測を元にしたもので、平成19年9月に測候所が閉鎖されるまでは、桜前線は愛媛県の宇和島測候所から始まって、北海道の根室測候所がゴールインということがほとんどでした。
根室では、長年の桜の開花の記録が残されており、昭和59年の5月30日をはじめ、5月下旬の桜の開花が珍しくありません。
現在、日本で一番遅いとされる桜の観測は、根室市と根室観光協会が、根室測候所が観測を行っていた標準木である千島桜を用いて行っています。今年の桜の開花は、5月13日と、稚内と同じ日でした。日本一遅い桜の開花でした。
根室市と根室観光協会によると、昨年より7日遅く、平年より5日早い開花とのことです。
桜の咲く頃までは、時として寒波により雪が舞うことがありますので、桜前線が到着したことで、ようやく冬が終わったことになります。
逆に言えば、それまでは冬に逆戻りすることがあり、北海道東部ではゴールデンウイークの頃の雪は珍しくありません。今年も大雪でゴールデンウィークがスタートしました。
最高気温20度
5月18日の釧路の最高気温は20.0度で、根室の最高気温も19.7度と20度目前まで上昇しました。今年一番の暑さです。
週間天気予報によると、週末も最高気温が20度を超え、春本番です。
桜前線がゴールイン頃、いろいろな植物が花を咲かせますが、「もんしろちょう」が見られるようになるなど、動物も活動を活発化し、長かった北海道東部の冬が終わります。日本の本土最東端にある根室市の納沙布岬(のさっぷみさき)にもようやく春となります。というより、急速に夏が近づきます。
図の出展:饒村曜(2000)、気象のしくみ、日本実業出版社。