将棋人口は620万人と減少――本格的将棋ブームはこれから? 囲碁界の復活にも期待
9月30日発行された「レジャー白書2020」(日本生産性本部・編集発行)によると2019年の将棋人口は620万人と前年の680万人から減少した。将棋と並ぶ知的遊戯の代表格である囲碁は前年の210万人から230万と微増した。
将棋は平安時代、囲碁は奈良時代以前から日本で盛んだった知的遊戯で、現代においても大学など高等教育機関の正課に取り入れられるなど、単なる娯楽でなく知的能力を育む教材としても評価されている。
筆者は本欄でたびたび将棋界のニュースをテーマにしているが、囲碁界のニュースを書いた時と比べ、反応は少なくとも数倍から数十倍で、圧倒的な将棋人気を実感している。
「藤井聡太効果」で将棋人口増加
昨今、将棋人気の原動力となっているのは藤井聡太二冠(18)であることは間違いない。
2016年に奨励会三段リーグを突破しプロデビューした藤井二冠は、2017年6月29日に四段昇段後無敗のまま29連勝の最多連勝記録を更新。新聞各紙が号外を出し、連日対局会場に100人前後の取材陣が駆けつける盛り上がりだった。
2018年には五段昇段、春には全棋士参加の朝日杯将棋オープン戦で佐藤天彦名人(当時)、羽生善治竜王(当時)、広瀬章人八段を破って初出場初優勝、六段に昇段、同年5月には七段に昇段した。
2019年も2月に朝日杯を連覇、2020年は史上最年少17歳10カ月20日でタイトル戦挑戦記録を更新し、さらに棋聖、王位の二冠を獲得して八段昇段、トップ棋士の仲間入りを果たした。
藤井二冠デビュー前の将棋人口は530万人だったから、現状でも約2割の増加。またレジャー白書の調査対象は全国15歳から79歳の男女だが、子供大会の参加者は年々増えており、実際の将棋人口は2010年の1200万人という数字に近いという見解もある。
囲碁人口は「底打ち」からの反転なるか
囲碁人口は2010年に610万人だったが2017年は190万人と3分の1以下に減少。これは囲碁ファンの高齢化と若年層への普及活動の不足が要因と思われる。
だが、昨年は史上最年少19歳11カ月で名人を獲得した芝野虎丸二冠(20)現・王座、十段や、男性棋士も参加する全棋士参加棋戦の竜星戦で準優勝した上野愛咲美女流本因坊(18)ら新たなスターも生まれており、明るい材料も出てきた。
囲碁界も将棋界同様、各種メディアを活用し多くの人に囲碁の魅力をアピールすることで、数年のうちに参加人口を増やすことは可能だと筆者は考える。