小さければ小さいほど「エビ煎餅」に似てくるエビイロカメムシ
エビイロカメムシは、エビイロ(海老色)の名を持つからには、よほど赤いのだろうと、期待して探す人がいるかもしれない。しかし、ススキ原で良く見かける多くの成虫の体色は地味な黄土色だ。
しかし、そこでがっかりしてはいけない。成虫がいれば近くに幼虫もいるかもしれない。そしてその幼虫がまさに「エビ煎餅(せんべい)」のようで、相当に可愛いのだ。
エビイロカメムシの幼虫は、小さいほど円形に近く、白い生地にエビを焼き込んだ通称「満月」と呼ばれる代表的なエビ煎に良く似ている。少し成長した幼虫は、やや細長いエビ煎になる。
最初に「成虫は地味」と書いたが、写真を検索するとエビイロの名に恥じない、ピンク色や薄紅色の個体もいるようだ。
そして正面から見た成虫の姿は、三角に尖った頭部と、扇形に広がった胸部が精悍(せいかん)な印象を与える。また、実際に触ってみた人々によると「臭くないカメムシ」という点も好感が持てるという。昆虫記者も、次に見つけた時には、じっくりと臭いを嗅いでみようと思う。
そして最後は、目(複眼)に注目してほしい。体色が黄土色の成虫でも、目の色はエビイロの名を主張する赤なのだ。
ススキ原はバッタぐらいしかいないと思われていて、虫好きの子どもたちの間でもあまり人気のない場所だ。しかしエビイロカメムシの存在を知ると、ススキ原はずっと楽しい場所に変わるかもしれない。
(写真は特記しない限りすべて筆者=昆虫記者=撮影)