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先頭打者本塁打の球団記録を更新したスプリンガー そこで知っておきたいMLBの先頭打者本塁打記録雑学

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
先頭打者本塁打の球団記録を更新したアストロズのジョージ・スプリンガー選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【スプリンガーが先頭打者本塁打の球団記録を更新】

 アストロズのジョージ・スプリンガー選手が20日のタイガース戦で、今シーズン27号となる先頭打者本塁打を放った。同選手の先頭打者本塁打はこれで今シーズン10本目となり、自ら2017年に樹立した球団記録を更新することに成功した。

 またアストロズ広報によると、先頭打者本塁打数が9本以上のシーズンを複数回記録したのは、スプリンガー選手がMLB史上2人目のことで、過去には元広島のアルフォンソ・ソリアーノ選手(2003、2006、2007年の3回)しか存在していない。

【通算記録では球団史上2位】

 現在もMLB屈指の強力打線の中で、アレックス・ブレグマン選手に続く本塁打を放っているスプリンガー選手。アストロズ在籍6年目で、すでに148本塁打を記録している。

 それと同時に、在籍2年目の2015年から先頭打者で起用される機会も増えたため、先頭打者本塁打も確実に増やしており、この日の1本を加えると、ここまで通算の先頭打者本塁打数は34本まで伸ばしている。

 ちなみにアストロズの球団記録は、アストロズ一筋20年で通算3060安打を記録し殿堂入りを果たしている、クレイグ・ビジオ選手が保持している53本。この記録にはまだまだ遠く及ばない。

【先頭打者本塁打の年間記録は元広島のソリアーノ】

 せっかくなのでアストロズだけでなく、MLBの先頭打者本塁打の記録をチェックしてみた。記録はすべて『Baseball Almanac』から引用したものだ。

 まず今回スプリンガー選手が球団記録を更新した年間先頭打者本塁打数に関してだが、MLB記録保持者は前述のソリアーノ選手で、2003年のヤンキース時代に樹立した13本。残り試合を考えると、スプリンガー選手が追いつける可能性は十分にありそうだ。

 ちなみにナ・リーグ記録もソリアーノ選手が保持しており、2007年のカブス時代に記録した12本となっている。

【先頭打者本塁打の通算記録保持者は?】

 次ぎに先頭打者本塁打の通算記録を見てみたい。

 こちらは、文句なしでMLB史上最強の先頭打者として君臨してきたリッキー・ヘンダーソン選手が樹立した81本だ。

 MLB在籍25年間でMLB史上最多の2295得点、1406盗塁を保持するなど、野球人生のほとんどで先頭打者を任されてきた選手だけに、先頭打者本塁打数もダントツの1位を誇っている。

 またヘンダーソン選手は在籍25年間の多くをア・リーグのチームに在籍してきており、ア・リーグ記録の73本もヘンダーソン選手が保持している。そしてナ・リーグ記録は、前述のビジオ選手の53本となっている。

 現在アストロズはア・リーグ西地区のため混乱しやすいが、元々チームは1962年の球団創設から2012年まではナ・リーグに所属しており、2007年限りで引退したビジオ選手の記録はすべてナ・リーグに属している。

 ちなみにイチロー選手もマリナーズ時代はずっと先頭打者を任されており、通算で37本の先頭打者本塁打を放っている。これはMLB歴代で4位に相当する。

 スプリンガー選手は現在5位にランクしており、まずはイチロー選手の記録に追いつくことが目標になりそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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