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ロシア軍がイラン製軍事ドローンで「夜に重要インフラ襲撃」ウクライナ軍16機全て撃破

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

「テロリスト国家の攻撃はウクライナ軍が止めるまで止まりません」

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。

2022年10月からロシア軍はミサイルとイラン政府が提供した標的に向かって突っ込んで行き爆発する、いわゆる神風ドローンの「シャハド136(Shahed136)」、「シャハド131(Shahed131)」で首都キーウを攻撃して、国際人道法(武力紛争法)の軍事目標主義を無視して軍事施設ではない民間の建物に攻撃を行っている。11月に入ってからはイラン製軍事ドローンでの攻撃が激減したことから、英国国防省はイラン製軍事ドローンの在庫が枯渇したのではないかとの見解を示していた。

だが12月に入ってからはロシア軍はイラン製軍事ドローンで電力施設にも攻撃を行いオデーサ近郊の150万人以上の市民生活に打撃を与えている。2022年12月14日にはロシア軍は首都キーウにイラン製軍事ドローン「シャハド136」と「シャハド131」13機が攻撃をしかけようとしてきた。それら13機のイラン製軍事ドローンはウクライナ領土防衛隊の移動式迎撃部隊によって、全て破壊。12月18日の夜には、ロシア軍がイラン製軍事ドローン「シャハド136」と「シャハド131」でウクライナの民間施設に攻撃。ウクライナ軍、ウクライナ領土防衛隊が35機のうち30機を破壊。

そして12月29日未明には首都キーウ、オデーサなど複数の都市にロシア軍による120発以上のミサイル、攻撃ドローンによる攻撃が行われた。キーウでは民家も犠牲になり3人が負傷したと市長が発表していた。

さらに12月29日夜に再びロシア軍がイラン製軍事ドローン「シャハド136」と「シャハド131」でウクライナ南部、東部、中央部の重要インフラに奇襲をしてきた。だがウクライナ軍は16機全てのドローンを迎撃して破壊したことを公式SNSで発表していた。ウクライナ軍は「テロリスト国家の攻撃はウクライナ軍が止めるまで止まりません」と投稿していた。

▼12月末のロシア軍によるウクライナへの大攻撃を伝える米メディア

▼ウクライナ軍公式SNSでの報告

国防大臣「ウクライナの上空を飛んでいるものは撃破しました」

まだ米国からパトリオットミサイルは到着していないので、兵士が「スティンガー」のような地対空ミサイル、近距離防空ミサイル「スターストリーク」、ライフル銃、さらにウクライナ軍が開発した「移動式ドローン迎撃車」でイラン製の軍事ドローンを迎撃している。

人間の兵士にとって夜は昼間よりも見えにくいし、寒さで凍えているので、夜の攻撃ドローンの探知と撃破は昼間よりも難しい。ウクライナ軍の「移動式ドローン迎撃車」でドローン迎撃を行っているウクライナ兵も「視界の悪い夜と悪天候の日は迎撃が大変」と語っていた。そんななか、ロシア軍によるイラン製軍事ドローンでの夜の重要インフラ奇襲で16機のドローン全てを破壊した。

ウクライナの国防大臣のオレクシー・レズニコウ氏は「ウクライナ軍はロシア軍のドーン、ミサイル、ヘリコプターなど我々の空の上を飛んでいるものは撃破しました。ウクライナ軍では古い携帯式防空ミサイルシステム(MANPADS)から最新のパトリオットシステムまで何でも使います。我々の国土は我々自身で守ります。テロリスト国家は破壊していきます。予定通りですが」とコメントしていた。米国政府が2022年12月21日にウクライナ軍への提供を発表した「パトリオット」はまだ供与されていないので、「将来使う」ということで未来形(will)で書いている。

▼ウクライナ国防大臣「ウクライナ軍では古い携帯式防空ミサイルシステム(MANPADS)から最新のパトリオットシステムまで何でも使います」

▼ウクライナ軍が開発した「移動式ドローン迎撃車」ウクライナ軍公式SNSより

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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