若者と高齢層で「老後の生活資金源」構想は大きく異なる(2023年公開版)
「老後の生活資金源」構想、二人以上世帯の場合
公的年金、就業収入、子供などからの援助…老後の生活資金源に関する考え方は人それぞれ。その実情を金融広報中央委員会の「知るぽると」が毎年実施している調査「家計の金融行動に関する世論調査」(※)の公開結果から確認する。
まずは二人以上世帯における世帯主の年齢階層別・老後における生活資金源(の思惑)。場合によってはすでに老後に突入している人もいるため、「老後の想定」以外に「すでにその資金源で生活している」人も含まれる。特に高齢層は、現状を示している場合が多いと見てよい。なおグラフ上の項目の並びは公開値のままとしている。
おおよそ公的年金を頼る人がもっとも多いように見えるが、高齢者ほどその値が高い。見方を変えると若年層ほど、公的年金への期待ができないとの意識を持っていることになる(60~70代の場合は身体の衰えから就業収入を望めない場合もあるだろう)。実際、40代までは公的年金よりも就業収入の値の方が高くなっている。一方、大体若年層ほど就業収入の値が高く、公的年金以外の手立てで老後を支えていくとの意思が見えてくる。
金融資産の取り崩しはおおよそ一定の値を維持している。20代で低めの値が出ているのは、まだ(ほとんど)具体的な蓄財をしていないからだろう。逆に60代以降で高めなのは、実際に取り崩しをしている(せざるを得ない)人がそれなりにいるからだと思われる。
気になるのは絶対値としては少数だが、公的援助、具体的には生活保護などと回答する事例が一定率で確認できること。今件は「主な生活資金源」として3つまでを挙げてもらった結果であることから、例えば「二人以上世帯の20代の9.9%は、自分の老後において生活保護などを受けることを前提として考えている」ことになる。
調査結果の公開値には多様な属性の回答値が収録されているが、そのうち高齢年金生活者に近い属性、具体的には「(世帯の)就業者数別」で就業者無しの世帯における動向を確認したのが次のグラフ。
おおよそ年金生活による夫婦世帯の生活資金源の内情を推し量れるが、公的年金がもっとも多く、次いで企業・個人年金・保険金と金融資産の取り崩しが同率で続く。利子配当や不動産収入、子供などからの援助は、少なくとも主要な3資金源として挙げる人は少数。公的援助は7.0%となっている。
単身世帯の場合
単身世帯の動向は次の通り。
多くは二人以上世帯と変わらないものの、公的年金への信頼感はより低いものとなっている。さらに企業・個人年金・保険金への期待度も二人以上世帯と比べると低め。金融資産の取り崩しはあまり変わらず。
気になるのは公的援助の回答値の高さ。単身世帯では30-40代で1割超えの値を示している。老後の生活資金源に係わる将来設計で、すでに生活保護を念頭に置いている人が多くの世代にわたって存在している状況は、憂慮すべき話に違いない。
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※家計の金融行動に関する世論調査
直近分となる2022年分は世帯主が20歳以上80歳未満の世帯に対しインターネットモニター調査法で、2022年6月24日から7月6日にかけて行われたもので、対象世帯数は単身世帯が2500世帯、二人以上世帯が5000世帯。過去の調査も同様の方式で行われているが、二人以上世帯では2019年分以前の調査は訪問と郵送の複合・選択式、2020年では郵送調査式だった。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
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