いじめを減らす方法:「いじめ許容空間」を作らせるな!:いじめ防止法成立を受けて
いじめ防止対策推進法
いじめを防止するための法律(いじめ防止対策推進法)ができました。
簡単に言えば、刑法では問題にされないようないじめも含めて、いじめは悪いことだ、防止しようと、定められたわけです。
いじめ防止対策推進法でいじめは防げるか Yahoo!ニュース
法律ができたことは大きな一歩だとする意見がある一方、法律ができてもいじめは減らないという意見や、法律自体の問題を指摘する声もあります。
現代型のいじめの特徴
昔のいじめは、ジャイアンのような子が、のび太のような子をいじめていました。しずかちゃんや出木杉くんのような子は、いじめられませんし、いじめを止める正義の味方にもなれました。
でも、現代のいじめでは、誰もがいじめられる可能性があります。誰もがいじめられることを恐れています。だから、誰も正義の味方になれないのです。
いじめが起きるのは
いじめ問題の根本は、人間関係の不安です。人間関係に不安を持っているからこそ、満たされない権力欲、傷つきやすい自己愛、肥大した自我、劣等感、わがまま、未学習、ストレス発散、自己嫌悪感などが、いじめ衝動へとつながります。
しかし、「いじめたい」と感じただけでは継続的ないじめは起こりません。ご飯が食べたいと思えば、いつでもどこでもご飯を食べるかと言えば、そんなことはないでしょう。ご飯を食べてもよい場所で、ご飯を食べるのです。
私がゴミを捨てたいと思い、室内にゴミを放り投げたとしましょう。正義の味方が叱ってくれれば、私はそれ以上捨てません。正義の味方がいなくても、みんなに非難の目で見られれば、それ以上ゴミを捨てないでしょう。
ところが、みんなが「見て見ぬふり」をしたとしましょう。私は、2個目のゴミも捨てます。3個目のゴミも捨てます。すると、調子に乗る人間が出てきて、その人達もゴミを捨て始めます。しだいに、部屋がゴミだらけになっていきます。そうすると、普通の人もゴミを室内に捨てるようになります。
そうして、ほとんどの人がゴミを放り投げるようになれば、まじめにゴミ箱までゴミを持って行くのが、辛くなってしまいます。みんなに仲間はずれにされないようにと思えば、本意ではないけれど、ゴミを放り投げるようになるでしょう。こうして、ゴミ捨て許容環境ができあがります。
いじめを見て見ぬふりする大勢の傍観者によって、いじめ許容環境ができあがります。いじめ衝動と、いじめ許容環境によって、いじめは起きるのです。
いじめは悪いこと
今までも、全国の学校で「いじめ撲滅運動」などが行われてきました。生徒達が、様々な工夫をして、いじめ問題に取り組みます。その一つ一つは仮に稚拙なものだとしても、学校みんなで取り組むことによって、いじめはだめだ、いじめは許されないという雰囲気が作られていきます。
もちろん、それでいじめが0になるわけではありませんけれども、いじめ許容環境を広げないことはとても大切です。
いじめ防止対策推進法の意義
新しく成立した法律によって、いじめはだめだという雰囲気を広げたいと思います。子どもは大人の縮図です。社会全体が毅然としていじめと立ち向かう姿勢をとることで、子ども達もいじめ撲滅の雰囲気を作りやすくなります。
いじめ防止対策推進法は、たいした効果がなく、かえって仕事が増えるだけと考える人もいるかもしれません。しかし、その考え方自体が、うっかりすればいじめを後押ししてしまいます。
まず、私たち大人自身が法律成立と共に、本気の態度を示すことでしょう。子ども達は、大人を見ているのです。
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