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準備期間の話は「聞きたくない」。日本代表・田村優の決意とは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
日本代表の立川理道曰く、「ロングパスと短いパスの腕の振りが一緒。対応しづらい」。(写真:アフロスポーツ)

ラグビー日本代表のスタンドオフである田村優が、所属するNECでプレーする意義や秋の代表ツアーについて語った。

身長181センチ、体重92キロの27歳。4年に1度のワールドカップイングランド大会の計2試合など、テストマッチ(国際間の真剣勝負)には38試合、出場している。ジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチ率いる今度のチームでも、弟で東芝所属の煕とともに候補メンバー入りを果たしている。

日本最高峰のトップリーグは10月16日までに7節を消化。前年度は下部との入替戦に参加したNECは、今季も2勝5敗と負け越している。

田村はシーズン前、日本のサンウルブズの一員として国際リーグのスーパーラグビーに参戦。キャリア豊富な主軸として、低迷脱却を図る。

10月15日、千葉・柏の葉公園総合競技場。サントリーに14―33で敗れた直後、心境を明かした。いまの日本代表は不揃いな準備体制が問題視されているが、普段から「僕らはラグビーでしか評価されない」と訴える田村は、その流れには乗らない。言い訳をせずに戦う。

以下、一問一答の一部(編集箇所あり)。

――日本代表は10月9日から3日間、都内で候補合宿をおこないました。どんな印象でしたか。

「導入(これから採用する戦術などの共有)、ですね。結局は、勝てば何でもいいんでしょう。やるしかない。自分でできる準備をしっかりします。色々と経験をしている選手が、皆のやりやすい空気を作るしかないです。こんなちょっとの間で完璧なチームができるわけではない(10月下旬に第2回目の合宿をおこない、10月30日からのツアーへ突入する)。準備期間が短い…という話は聞きたくないです。NECでも、何かしら理由をつける(傾向がある)。オールブラックス(世界ランク1位のニュージーランド代表)はぱっと集まっても強い」

――「準備期間が短い」のは当たり前、と。

「そうですね。そこを言い訳にしたら何もできない。コーチがベースを作ってくれて、選手がパフォーマンスで答えるだけ。NECも、日本代表も、サンウルブズも(同じ)です。個が強くなって、融合して、大きいチームを作れれば」

――言い訳無用。そのマインドは、いつ頃から身についたのですか。

「メディアの人が準備期間をどうこうと書いてくれても、日本協会は何も変わらないかもしれない。変わらないことを変えるより、自分が変わったほうが早い、と。…あ、サンウルブズ(の状況や雰囲気)には満足しています」

――いい意味で諦めたほうがいい、と。

「そうですね。いまNECにいるのも同じ。チームは強くないですし、僕のパフォーマンスが良くない時もあります。ただ、(NECの中心選手として)サンウルブズや日本代表でやる時よりもきついプレッシャーを相手から受けられる。そう(前向きに)考える。(NECでは)皆をサポートして、僕もサポートしてもらいつつ、皆を元気づけていく。とにかく、皆に自信を持ってもらわないと」

――代表での話に戻ります。弟の煕選手、いかがですか。

「まだ緊張しているとは思います。色々と聞いてきてたりはしますけど、あまりあれこれ言い過ぎたら、受け取るだけで疲れてしまうと思う。これは新しい人、皆に言えることです。まずは、何でも喋りやすい雰囲気を作ることが大事です」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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